共働き世帯が増える中、保育園の送迎や病児保育、夕食の世話などを祖父母が担当する「孫育て」は、現代の子育て家庭にとって欠かせなくなっています。
しかし、そこには「かわいい孫のためなら」という綺麗事だけでは片付けられない「孫疲れ」の実態があります。
弁護士ドットコムニュースに寄せられた読者の声から、令和の家族が抱えるシビアな現実が浮かび上がってきました。
●「金はしっかり貰います」月6万円を請求する祖母の矜持
「孫は来てよし、帰ってよし」とはよく言ったものですが、生活を共にすれば話は別です。
岐阜県の70代女性は、息子夫婦が仕事で東京に出るため、月の半分を自宅で孫たちの世話に費やしています。
「私は子どもたちのご飯づくり、お稽古の送り迎えを担当。主人はまったくタッチしません」
夫(祖父)は家にいるにもかかわらず、孫の世話はせず、負担はすべて彼女に降りかかっているようです。夜11時に家事を終え、翌朝4時には弁当作りのために起きるという、現役世代さながらのハードワークです。
そんな彼女が徹底しているのが「対価」でした。
「(息子夫婦から)お金はしっかり貰います。月に6万円くらい。食事代で消えますが、払うのは当然。友だちに『みずくさい』と言われますが、なぜ?」
日々の生活を回すことで精一杯で、「子育ての方針の違いで揉める暇すらない」といいます。「こんな生活をしていると、教育方針なんて、ばかばかしいです」と本音を漏らしました。
●良い関係を維持するには「同じだけの思いやり」を
一方で、最初から「頼らないで」と線を引くケースもあります。
愛知県の60代女性は、娘の職場復帰に際して、こう宣言しました。
「旦那さんの給料だけでも食べていけるのに職場復帰するのは自分たちの勝手。自分の子どもは自分たちの責任において育てること。私を頼らないように」
冷たく聞こえるかもしれませんが、女性は「大切なのは『親に子育てを手伝ってもらうことを当たり前』という子どもにしないことです」と話します。つまり、教育的な配慮です。
結果として、娘夫婦とは適度な距離感を保ち、必要なときは女性側から申し出る形で手伝うことで、良好な関係を築いているようです。
「私も3人を育て、仕事と子育ての大変さは理解しています。もっと手を差し伸べたい気持ちもありますが、ずっと良い関係を続けるためには、どんなに仲が良くてもお互い『同じだけの思いやり』を持つことが大事だと思います」


