●こんな対応を考えてみましょう
隣家とのトラブルは、どうしても感情的な対立になりやすく、こじれると関係の修復が難しくなることもあります。ですから、法律的に正しいことを主張する以外の工夫が必要になることもあります。
隣家トラブルで一番良い方法は、「仲良くなること」であるといわれることもあります。これは、仲の良い人なら角が立たないように困りごとを伝えられるということでもありますし、よく分からない人からされると腹の立つことでも、仲の良い人からされると腹も立ちにくいということでもあります。
法的に切除を要求したい場合には、木がどういうふうに境を越えているのか、その状況を記録し、証拠を揃えましょう。枝が屋根や雨樋にかかっている様子、音がする状況、虫の被害などがわかるように、写真や動画を撮影して、日時とともに記録しておくことが重要です。
次に、法的に切除を要求したい場合、相手に対して口頭ではなく、形の残る方法、たとえば内容証明郵便によって催告するべきです。「いつまでに切ってほしい」という期限を明確にして、催告をしたという事実と日付が証拠として残る方法を選ぶことで、その後の対応(民法233条3項の適用など)がしやすくなります。
当事者同士での話し合いが難しい場合は、弁護士に相談することも考えられます。ただ、お金もかかりますし、隣家としても弁護士を立てられればますます感情的になるでしょうから、当事者同士の話し合いで済むならその方が良いでしょう。
最終的な手段として裁判で切除を求めることもできますが、隣家の場合にはこの後も関わっていくことが多いでしょうし、まずは催告に応じてもらうための努力を尽くして、対立を深めずに解決できる道を探ることが大切です。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

