痛みや痒みがないからといって、皮膚がんを否定できるわけではありません。多くの場合、皮膚がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、見た目の変化が重要なサインになります。一体、どのようなサインに気づけばいいのか、「ぶん皮膚科クリニック」の文先生に解説してもらいました。

監修医師:
文 省太(ぶん皮膚科クリニック)
鳥取大学医学部保健学科卒業、奈良県立医科大学医学部卒業。その後、JCHO大阪病院、堺市立総合医療センター、大阪医療センター、静岡県立静岡がんセンター、大阪国際がんセンターなどで皮膚科医として経験を積む。2025年、「ぶん皮膚科クリニック」を開院。日本皮膚科学会認定専門医・指導医。難病指定医、臨床検査技師。
皮膚がんの症状
編集部
皮膚がんを発症すると、どのような症状が出ますか?
文先生
皮膚がんは多くの場合、シミやほくろのような小さな変化から始まります。シミやほくろのようなものの色が不均一だったり、形がいびつだったり、短期間で大きさが変化したりするのが特徴です。初期には痛みや痒みを伴わないことが多く、気づかないうちに進行してしまうケースもあるため、自己判断せず、変化に気づいたら医療機関を受診することが大切です。
編集部
皮膚がんはどの部位にできやすいのでしょうか?
文先生
日光をよく浴びる顔、首、手の甲などに多く発生しますが、衣服で隠れる部分にもできることがあります。特に皮膚がんの一種であり、悪性黒色腫とも言われる「メラノーマ」は足の裏や爪の下、粘膜など、一見すると紫外線と関係なさそうな部位にも生じるため、全身を注意深く観察することが必要です。
編集部
見た目の変化以外に、注意すべき症状はありますか?
文先生
表面がただれて治りにくい、出血しやすい、皮膚の質感が変わるといった症状にも要注意です。特に長引く傷や、繰り返し出血する部位は皮膚がんの可能性があるので、自己処置で放置せずに皮膚科を受診してください。
編集部
がんが進行すると、痛みや痒みなどの症状が出てくるのですか?
文先生
いいえ。皮膚がんは進行しても症状がないことが多いため、「しばらく様子をみよう」と放置してしまう人が多いのです。自覚症状がなくてもがんが皮膚の深いところまで進行し、気づいたら全身に転移していたということもあるので、たとえ痛みや痒みがなくても見た目や皮膚の質感などの変化に気づいたら、早めに診察を受けることをおすすめします。
編集部
皮膚がんは早期に発見できますか?
文先生
皮膚は目に見える部分なので、注意深く観察することで早期発見が可能です。ほくろやシミに形や色、大きさの変化が見られたら早めに受診することが、治療成績を大きく左右します。
皮膚がんの原因・なりやすい人の特徴
編集部
皮膚がんの主な原因は何でしょうか?
文先生
最大のリスク要因は紫外線です。長年にわたり日光にさらされることで皮膚細胞のDNAが傷つき、がん化につながります。そのほか、老化、慢性的な刺激、炎症、やけど跡などもリスクとなることがあります。
編集部
どのような人が皮膚がんになりやすいですか?
文先生
「色白で日焼けに弱い肌質の人」や「野外活動や屋外での仕事が多い人」は、特にリスクが高いとされています。また、「免疫力が低下している人」や「高齢者」も発症しやすい傾向があります。
編集部
遺伝的な要因も関係しますか?
文先生
家族に皮膚がんの既往がある場合、リスクが高まるとされています。ただし、遺伝だけでなく生活環境との組み合わせが発症に大きく関わります。
編集部
ほくろが多い人は皮膚がんになりやすいのですか?
文先生
一般的に、ほくろの数が多い人はメラノーマのリスクがやや高いとされています。特に大きさが6mm以上で形が不規則なほくろは、メラノーマの可能性を示すサインとされているため、注意が必要です。定期的なセルフチェックと医師による診察が安心につながります。
編集部
大きさが6mm以上のほくろは注意した方がいいのですね。
文先生
ただし、先天性母斑という生まれつきのほくろが6mm以上ある人もいます。このような場合は、特に危険ではありません。注意すべきは、「突然ほくろができた」「どんどん大きくなっている」という変化のあるほくろがあれば、早めに受診することをおすすめします。

