ストーリーもさることながら、連日ニュースサイトをにぎわせているのが豪華な出演陣です。ことに、お笑い芸人さんは毎回入れ替わり立ち代わり出演をしています。
これほど芸人さんが出演するドラマは、大河ドラマというくくりのみならず、地上波の連続ドラマの中でも珍しいことではないでしょうか。そこには“必然的”な3つの理由が考えられます。

ネットニュースになる話題性。後日談までがセット
なぜ『べらぼう』は芸人さんが多数出演するのか――単純に考えれば、まず第一に「話題作り」ということがあげられます。テレビ番組関連のネットニュースは、視聴者からの「コタツ記事」などという揶揄がある反面、テレビ制作者側はTVerの再生回数に繋がることもあり、歓迎している傾向があります。
ネットニュース狙いの演出・仕掛けをしているテレビマンもいるとか。バラエティと違い、ドラマは事前に根回しするか、目を引くエピソードがないと記事になりにくいのです。
しかし、『べらぼう』は芸人の出演が発表されるたびに、大河×芸人という意外性もあり、ネットニュースやSNSをにぎわせることができています。しかも放映前に、です。
つまり、芸人さんをキャスティングするだけで、ドラマ自体を見ていない人も、「ちょっと見てみるか」と興味を持つことができ、視聴につなげることができます。その後、服部半蔵役で出演した有吉さんのように、ラジオで意欲や後日談を語ってもらうことまでがセットです。非常に上手な話題作りの仕方であると言えます。
一瞬のために大物は起用しにくい&芸人の華やかな存在感
次に、『べらぼう』の世界の登場人物の多さがあげられます。主人公である蔦重こと蔦屋重三郎は、今でいうメディアプロデューサー的な人物であったため、後世にその名を残すたくさんの著名人に囲まれた人生でした。
しかし、そのほとんどがビジネスパートナー的なかかわりであり、歴史的に重要な割には登場が少ない人物ばかり。一瞬のために有名な俳優をキャスティングするには勿体なく、逆に無名俳優だと注目が集まりづらいところがあります。そこを解消するのが役者としては未知数ながらも知名度高く華のある芸人さんです。出番は短いながらも名の知れた有名人だけあって、モデル人物へのリスペクトの姿勢も感じますし、芸人さん側も「またとない機会」だと、喜んで出てくれるということもあるでしょう。
そして、画面に出てくるだけで目を引くので、出演するワンシーンに注目も行きやすい。思い返せば表坊主役として出演していたナダルさん(コロコロチキチキペッパーズ)、出演は一瞬でしたが、のちに田沼意知を暗殺する佐野政言を一橋治済に存在を紹介する重要なシーンの役柄でした。
ナダルさんが演じたことで、後から効く意味深なその場面の印象が焼き付いた視聴者も多いはずです。
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