「とっつきにくいドラマ」というイメージを一新できる
そして、一番大きいと思われる理由が、『べらぼう』の空気感を軽く、おもしろおかしいものに見せるためではないでしょうか。一般的に大河は、「歴史の重厚感を感じさせる、若者にはとっつきにくいお堅いドラマ」という印象があります。しかし、『べらぼう』は政治パートはあるものの、ほとんどが主人公・蔦重をはじめとする江戸時代の市井の人々の奮闘を描いたもの。また、蔦重が目指すのは、田沼時代のような華やかで享楽的な世界です。
派手なシーンがないドラマを盛り上げる芸人たち
つまり、親しみやすいライトな作品の空気感や、彼の目指す楽しい世の中を表現するため、演技は拙くとも画面に映るだけで目を引き、おもしろおかしい印象を与える芸人さんの起用は必然だったと言えます。『べらぼう』は、時代背景的に大河ドラマの華と言える合戦シーンが全くと言っていいほどありません。芸人さんを毎回のように起用しているのも、その華を補うための小さな努力の面もあるかもしれません。


