40代から要注意! 「白内障」を放置すると手術が複雑で危険になるワケ【医師解説】

40代から要注意! 「白内障」を放置すると手術が複雑で危険になるワケ【医師解説】

白内障手術は誰でも安全に受けられるものというイメージを持たれがちですが、実際には進行度によってリスクが変わってきます。さらに、白内障を放置することで転倒などの生活リスクや、ほかの目の病気の発見が遅れるケースも少なくありません。白内障手術のリスクと、放置によって隠れてしまう病気について、和田先生に伺いました。

和田 佳一郎

監修医師:
和田 佳一郎(和田眼科)

奈良県立医科大学卒業。2005年、兵庫県西宮市に「和田眼科」開院。以来、白内障手術6000件以上、多焦点眼内レンズ700件以上、ICL・網膜硝子体手術など総数約7000件以上の日帰り内眼手術実績を誇る。日本眼科学会認定眼科専門医、ICL研究会ICL認定医。日本眼科医会、日本眼科手術学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本糖尿病眼学会、日本緑内障学会の各会員。

編集部

白内障手術は、水晶体の濁り具合によってリスクが変わるのでしょうか?

和田先生

はい。白内障が進行すると、目のレンズに該当する水晶体は、白い濁りが進むとともに硬化していきます。水晶体が柔らかければ手術時にそのまま吸い取れますが、硬いと砕かなくてはいけません。そして、砕くときの振動が目の組織に悪影響を与えるかもしれないのです。加えて、濁りの部分が濃くて多いほど、手術による負担や手術時間を要しますので、白内障が進行すればするほど手術時のリスクは高くなります。

編集部

濁りの症状以外に“悪くなっている”ところはありますか?

和田先生

見えづらさなど目の症状を放置していたため、そこからくる仕事や日常生活への悪影響が大きいですね。転倒して骨折してしまうケースは意外に多いのです。ほかには、「手術による合併症」が懸念されます。わかりやすい例としては、手術による術後炎症ですね。白内障がかなり進行して、核硬度が進んだりチン小帯という支えが弱くなっていたりすると、手術がやや複雑になり炎症リスクも若干ですが増加します。加えて、合併症ではなく、全く別の病気を併発している可能性もあります。

編集部

全く別の病気は、白内障の手術リスクと言えなさそうですが?

和田先生

ところが、手術によって“見えてしまう”ことで気づく病気もあるのです。一例を挙げるとすれば、目の中にゴミが漂っているように見える「飛蚊症」ですね。手術前の水晶体は濁っているので、気づかないことがあります。飛蚊症は網膜剥離や硝子体出血など重篤な目の病気を知らせるサインでもありますから、こうしたサインが白内障の放置によって隠れてしまうと、別途、手術リスクを押し上げてしまいます。

編集部

もし、白内障と他の病気が同じような時期に発症していたら?

和田先生

目の状態にもよりますが、その場合は白内障とほかの眼疾患の同時手術をおこなう場合があります。総じて、白内障を放置しているとほかの病気も生じる可能性があり、手術リスク全体が高まってしまうということです。また、水晶体が変質する病気は、白内障だけではありません。例えば「水晶体融解性ぶどう膜炎」という病気は、変質して溶け出した水晶体が起こした目の炎症です。これらの病気を早期発見・早期治療するためにも、40歳を過ぎたら定期的に目のチェックをすることをおすすめします。

※この記事はメディカルドックにて【白内障は進行度合いによって手術リスクが変わるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

配信元: Medical DOC

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