●偽造戸籍抄本でだましたら「詐欺罪」も
さらに、偽造した戸籍抄本を用いて交際相手をだました場合も、詐欺罪(刑法246条1項)が成立する余地があるといいます。
「たとえば結婚を前提に『新居や結婚費用が必要だ』と偽り、金銭をだまし取った場合などです。
刑事上の責任にとどまらず、民事上の責任も問われ得ます。改ざん書類を見せて独身だと信じ込ませ、重大な精神的苦痛を与えたり、結婚準備などの経済的負担を負わせたりした場合は、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を求められる可能性があります」
●確実に独身を確認するには「独身証明書」を
被害を防ぐ方法はあるのでしょうか。瀧井弁護士はこう助言します。
「独身であることを確かめるには、市区町村役場で発行される『独身証明書』を取得するのが最も確実です。発行時点で婚姻していなければ交付されます。既婚であれば交付されないため、戸籍抄本よりも信頼性が高いといえます。
ただし、独身証明書の内容を改ざんする可能性がゼロではないため、どうしても不安が残る場合は、本人と役所に行って発行手続きを一緒にしてもよいでしょう。
戸籍を偽造してまで独身を装う行為は、れっきとした犯罪です。書類だけで判断せず、少しでも不審な点があれば、本人の言動や経歴の整合性なども含めて、慎重に確認することが重要です」
【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、楽しく成長し続けることができる職場環境として、感動を生み出す職場の構築、拡大を目指し、日夜奮闘中。
事務所名:弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/

