
「一重はかわいそう」。そう言って、母親は15歳のエリカを整形させた。「かわいそう」だと思っていたのは母親だけで、エリカに自分の意思はなかった。「これで人生楽しくなるわよ!」と母が言うから、そうなるのだと思った。習い事、服、髪型、友達、進学先まで全て母親が決めた。価値観や理想を押し付け、子供を支配する親に育てられたグラハム子さんの実録漫画『親に整形させられた私が母になる エリカの場合』を紹介する。
■「言うことを聞かないから」と服を切り裂く母


ばあばにもらったクマの服を着たかったエリカだが、母親はおしゃれな服を着せたい。「これがいい!」とエリカがごねると、母は服をビリビリに切り裂いた。「エリカが言うことを聞かないから、クマさんがこうなったのよ」と、強制的に反省させ従わせた。
エリカの行動はすべて母が決めていた。主張すれば否定されるため、「母親が決めたことをやればいいんだ」と思うようになる。「あなたのためよ」と言って、母は子供のプライベートや人間関係に干渉し続けた。
中学校を卒業した春休み、母に連れられ二重整形の手術をしたエリカ。母親主導で育てられたため、自分の意見や行動に自信が持てず、相手の顔色をうかがい、自分で決断することができなくなってしまった。
■「感情がなかった」…支配された少女の苦悩
本作はグラハム子さんの実体験を基にしている。「うちの母親は、ちょっとおかしいかもしれない」と気づいたのはいつ頃か尋ねると、「高校生くらいから薄々気付いていましたが、確信に変わったのは25歳くらい。じわじわと違和感が溜まって気づいていきました」と語る。
当時の思いについては、「感情がなかったんです。感情を感じてしまうと辛くなるのがわかっていたから、押し殺していたんだと思います。生まれた頃から管理されることが当たり前だったので、管理してくれるのがよい親なんだと思い込ませていました」と、心の麻痺を明かした。
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