
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、コミックエッセイ『よいたん3歳、ときどき先輩。』(KADOKAWA刊)より、『しおさん0歳、よいたんが好き』を紹介する。作者のまぼさんが、8月19日に「しおさん0歳の1日」と添えてX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、まぼさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■兄妹が過ごすほのぼのした日常のひと幕

生後5カ月の赤子・しおさんには、兄のよいたんがいる。しおさんが大好きなよいたんは、起きると大きな声を出してしおさんのもとへやってくるが、大声を出したことを母親のまぼさんに注意されてしまう。スネてしまったよいたんを見て、しおさんは兄を励まそうと考える。
どれだけスネたり嫌なことがあっても妹のしおさんには優しいよいたんは、妹の頭を吸って気分をリセット。毎日がんばっていることを知っているしおさんが「いいこいいこ」と撫でると、よいたんはすっかり嬉しくなってしまうのだった。しかし朝食のメニューには、年齢から来る“兄妹間格差”があり…。
この兄妹の日常を読んだ人たちからは、「家族全員に読んでもらいたい作品」「育児に疲れたときに効く」「兄妹そろって無限にかわいい」「良い子なのがひしひし伝わってくる」など、多くのコメントが寄せられている。
■愛娘の視点を想像して描かれた日常

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
今作の原稿を進めている間に第2子となる娘しおさんを妊娠〜出産しました。まだ生後0ヶ月〜半年くらいの娘が眠っている間に原稿を進めていたのですが、娘の視点を通して、この暮らしはどんなふうに見えているのかなと想像し、この漫画を描くことにしました。
――本作では、赤子の妹・しおさん視点の語りが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
私や夫、息子の”娘に対する接し方”にそれぞれ違いがあって、娘のフィルターを通したときにこんな感じに見えていたりして、と妄想しながら描きました。実際に息子がおにぎりマンを娘に布教したり、保育園のみんなに娘の成長具合を報告したり、どんなに親とぶつかっても妹にだけは優しい姿など、我が家のリアルを漫画にできたかなと思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
「しおさん発見たまごっち!」や「しおさんのかわいさビタミンZ」など、夫の謎語録とともに甘々に愛される娘のシーンが大好きです(そしてそれは娘が4歳になった今も変わらず…)。
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
エッセイなので、いわゆる”漫画表現”(汗が表出している、顔が大きくなるなど)以外は実際に起こったことだけ描く、感情についても「私が思ったことだけ描く」と限定しているのですが、このエピソードだけ限定で「しおさん目線」で描かせていただいております。まぁまだふにゃふにゃの赤ちゃんだから許してね、という気持ちで娘の感情をアテレコしています。
――まぼさんの作品は、表情が豊かで感情が強く伝わるように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
こだわっていることではないのですが、息子はもともと気持ちを言葉で表現するタイプで、あまり「顔に出ない」性格でした。なので昔の漫画はもっと表情のバリエーションが乏しいのですが、パワフルな娘が生まれ、娘は言葉以外でたくさんの気持ちを表現するのが上手で。それは表情だったり、仕草だったり。怒っている時は顔をくっしゃくしゃにして怒ったり、泣きながら床を転がったり、嬉しい時はダンスで表現したり…そんな姿を見て(?)息子も言葉だけでなく表情が豊かになったように思います。漫画でも自ずと怒った顔や眉間にしわがよったり、ジト〜〜〜っとした目になるようになりました。
――今後の展望や目標をお教えください。
最近はエッセイ以外の仕事もご用命いただくことが増え、いろんなことに挑戦できる喜びを感じております。いつか個展を開いたり絵本を出したり、もっと絵を見てもらえるように頑張りたいなと思っています!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつもSNSや書籍を通して見守ってくださってありがとうございます。みなさまの反応をいただけることで、「これってうちだけじゃなかったんだ!」「共感してもらえた、嬉しいな」と思っています。未熟者ですが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

