直腸がんにはさまざまなステージがあり、それぞれに特有の特徴と治療法があります。ステージ4とされるものは末期と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
本記事では、以下の点を中心に直腸がんのステージ別の状態とその意味について詳しく解説します。
直腸がんとは
直腸がんのステージ
直腸がんのステージステージ4は末期ではない?
直腸がんの末期について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
直腸がんについて
直腸がんとはどのようながんを指すのでしょうか?症状や検査方法などを解説します。
直腸がんとは
直腸がんは、肛門から約20cmの範囲内にある大腸の一部、直腸に発生するがんです。この種類のがんは、日本人に多く見られ、大腸がん全体の約40〜50%を占めています。
直腸は泌尿器系の自律神経が密集しており、そのため手術は複雑になる傾向にあり、再発のリスクも高いとされています。
症状
直腸がんは初期には自覚症状が現れにくいがんですが、進行するに連れて症状が現れる場合があります。
硬い便が頻繁に通る部位に発生するため、便の通過時に出血し、これが血便の形で見られることが多いようです。
また、継続する出血によって貧血を引き起こすことがあり、この場合、動悸や強い疲労感、顔色の悪化などの症状が伴います。
直腸がんが大きく成長すると、腸の通り道が狭くなり腸管狭窄を引き起こすことがあります。これが進行すると腸閉塞のリスクが高まり、嘔吐や腹部の膨満感、激しい腹痛などが現れ、場合によっては緊急の手術が必要となることもあります。
また、直腸がんは粘膜から始まり、徐々に増大して血管やリンパ管に広がり、転移を起こすこともあります。
早期発見のためには、便潜血検査などの定期的な検診が推奨されています。
検査・診断
直腸がんの検査では、内視鏡検査や画像診断を行います。
内視鏡検査では、ポリープや腫瘍の存在、大きさを確認します。必要に応じて組織を採取し、病理診断でがん細胞の有無を診断します。
直腸がんと診断されたら、CTやMRIなどの画像診断で、がんの位置や進行度、消化管外への転移の有無などを確認します。
これらの検査結果を総合的に判断し、治療方法を決定します。
直腸がんのステージ
直腸がんのステージは、大腸がんのステージと同様です。どのように分類されるのでしょうか。
ステージ0期
ステージ0の直腸がんは、がん細胞が大腸の粘膜内に限定されている状態を示します。このような初期段階は、非浸潤性がんとも呼ばれ、がんは大腸の内壁表面のみに存在し、深い組織への浸潤やリンパ節への転移は見られません。治療による治癒率は高いとされています。
ステージ0の直腸がんの主な治療方法は内視鏡切除術です。
内視鏡切除術は、内視鏡を使用してがん細胞を直接切除するもので、侵襲が少なく早期に行えば、5年生存率は約99%に達するとされています。
ステージ1期
ステージ1の直腸がんは、がん細胞がまだ大腸の壁の粘膜下層で留まっている状態であり、リンパ節転移も見られない状態を指します。この段階のがんは、腹腔鏡下手術で対応できる可能性があります。
直腸がんの主な症状は、出血です。がん組織が便の通過で擦れることにより、便に血が混じることがあります。この血は鮮やかな赤色をしているので、異常に気付くことが多いようです。
しかし、直腸の粘膜は痛覚をほとんど持たないため、出血があっても痛みを感じることは少なく、その結果、痔と誤解されることもあります。
ステージ2期
ステージ2の直腸がんでは、筋層から漿膜(しゅんまく)にがんが浸潤しているものの、転移は見られない状態のことをいいます。
初期には目立った症状がほとんど表れないとされていますが、がんの成長に伴い、便の形状や色の変化、血便などが現れることがあります。
便通の問題も生じやすく、便秘や下痢が起こることがあります。
進行すると、腹部の膨満感や不快感、腹痛が増し、体重の不明瞭な減少や貧血による疲労感が強まることがあります。
これらの症状が現れた場合は、早期の医療相談が重要です。
ステージ3A期・3B期
直腸がんのステージ3Aは、3個以下のリンパ節にがんの転移があり、リンパ管もがん細胞に浸潤されている状態を示します。
一方、ステージ3Bは4個以上のリンパ節に転移があり、リンパ節のがん浸潤がより強いことが特徴です。
これらの段階では、主にリンパ節の広範囲切除を含む治療が行われ、必要に応じて抗がん剤治療も導入されます。
ステージ4期
原発巣の状態に関わらず、他臓器へ遠隔転移のある時点でステージ4に入ります。
転移先の臓器の機能障害が引き起こされる可能性があり、例えば肝臓に転移した場合は、黄疸やその他肝機能障害の症状が現れることがあります。
ステージ4の治療は、がんの広がりに応じて、より集中的かつ広範囲にわたるアプローチが必要とされます。

