

徳川美術館(愛知県名古屋市)では、2025年11月15日から12月14日(日)まで企画展 徳川林政史研究所連携企画「尾張家臣団」を開催。今回発見された「脇指 銘 来国光」を初公開する。

■「脇指 銘 来国光」のココがすごい!来歴編
今回発見された「脇指 銘 来国光」の歴史的意義について、徳川林政史研究所所長の深井雅海さんに聞いた。

「そもそも江戸中期以降、戦のない徳川の平和が続いたころには、将軍は日常的に名刀を身に着ける必要がなかったと考えられます。第10代将軍家治のころには、将軍が日常的に差していたのは刀ではなく脇指であった可能性が高く、また、所有していた刀剣も金15枚以下という評価額の低い刀剣がほとんどでした」
「今回発見された『脇指 銘 来国光』は、宝永元年(1704年)12月5日に、第5代将軍徳川綱吉から第6代将軍家宣に贈られた刀であることが鞘書から判明しました。その評価額は金200枚と記され、非常に高価な刀剣であったことがわかります。高額な刀剣を差していたことから家茂は刀剣好きだったと思われ、将軍個人の嗜好を知るうえでも貴重な発見です」

「また、鈴木信吉が筆写した将軍家の『刀剣帳』には、第14代将軍徳川家茂が数え17歳になる文久2年(1862年)12月2日に拵(こしらえ)を新調し、慶応2年(1866年)5月6日に替拵が完成したことが記されています。短期間で拵を替えていることから、家茂が日常的に指していた愛刀の可能性がきわめて高いと言えるでしょう。このように、将軍が指していた刀として文献で確認でき、しかも現存している刀剣は非常に珍しいものです」
■「脇指 銘 来国光」のココがすごい!見どころ編
今回発見された拵は、替拵の記録と特徴が一致している。鞘は、漆の表面に金粉を蒔いた梨子地に、亀甲文の青貝細工を散らしたデザイン。照明が当たり、キラキラと輝く様が美しい。

続いて、鐔周りの装飾に注目してほしい。鞘表面に指し込まれている笄(こうがい)も、柄を飾る鐔側の装飾である縁も、深みのある黒が美しい赤銅の地に金で文様を埋め込んだ、赤銅金平象嵌。笄の文様は葵唐草、縁の文様は唐草と徳川家を象徴する三つ葉葵を組み合わせている。

柄は白い鮫皮に藍色の柄糸の組み合わせ。資料には勝色と記されていることから、もともとはもっと黒に近い色味だったのかもしれない。柄糸の下から覗く目貫は葵唐草の金細工。縁と対になって柄の両端を飾る頭にも三つ葉葵があり、将軍家を象徴する葵が随所にあしらわれている。

刀身は、刃長30.3センチでわずかに反り、彫刻が施されている。刃文も穏やかで美しく、ぜひ間近でじっくりと確認してほしい。

刀工・来国光による刀剣は国宝や重要文化財に指定されているものがいくつもある。今回発見された脇指も見応えがあり、ひょっとしたら国宝に指定される未来もあるのでは、と期待してしまう。
■企画展と同時開催!「国宝 源氏物語絵巻」も必見
企画展 徳川林政史研究所連携企画「尾張家臣団」では、「脇指 銘 来国光」のほかにも貴重な品々が展示される。尾張徳川家の家臣には、幕府の公務を請け負っていた者や在地武士としての由緒を持つ者など、さまざまな出自・経歴を持つ者がいた。文書や武具、工芸品などさまざまな歴史資料から、その実像に迫る企画展になっている。


■企画展 徳川林政史研究所連携企画「尾張家臣団」開催概要
会期:2025年11月15日~12月14日(日)
会場:徳川美術館 名古屋市蓬左文庫展示室
料金:一般1600円、高大生800円、小中生500円、12月9日(火)~14日(日)は一般1400円、高大生700円、小中生400円
開館時間:10時~17時(最終入館15時30分)
休館日:月曜日(11月24日(振休)は開館、翌11月25日(火)は休館)
さらに、徳川美術館 開館90周年記念として、特別展「国宝 源氏物語絵巻」も同時開催。徳川美術館の所蔵品に加え、五島美術館所蔵品や他家所蔵の断簡類も一堂に公開される。こちらの期間は、企画展 徳川林政史研究所連携企画「尾張家臣団」よりも1週間早い12月7日(日)まで。ぜひ一緒に楽しんでほしい。


■特別展「国宝 源氏物語絵巻」開催概要
会期:2025年11月15日~12月7日(日)
会場:徳川美術館 名古屋市蓬左文庫展示室
料金:一般1600円、高大生800円、小中生500円
開館時間:10時~17時(最終入館15時30分)
休館日:月曜日(11月24日(振休)は開館、翌11月25日(火)は休館)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

