熊本県弁護士会は11月21日、熊本北合志警察署の留置施設で「被疑者ノート」を就寝時に回収する運用が、憲法が保障する黙秘権や接見交通権を侵害する恐れがあるとして、熊本県警に即時中止を求める会長声明を発表した。裁判所が勾留場所を変更する決定を下したことを受けての声明となる。
「被疑者ノート」とは、身体拘束下にある被疑者が弁護人との接見に備えて取調べの内容や疑問点を記載したり、接見内容を記録したりするための文書。11月6日、熊本簡裁は、留置施設職員が就寝前にこのノートを回収して保管庫に収納する運用が接見交通権と黙秘権の侵害にあたりうるとして、職権で勾留場所を変更する決定を下した。
●「無用な萎縮効果を及ぼすことのない運用に改めることを強く求める」
熊本県弁護士会は声明で、「被留置者からすれば、自分が就寝中に留置施設職員や捜査官が記載内容を閲覧するかもしれないと危惧するのが通常であり、被疑者ノートへの記載や黙秘を含む供述意思の形成に対する到底看過できない萎縮効果が発生する」と指摘。
近年、各地で同様の取扱いが違法とされる判断が出ていることも挙げ、「黙秘権や接見交通権・秘密交通権の侵害の恐れのある取扱いを即時中止し、被疑者の権利行使に無用な萎縮効果を及ぼすことのない運用に改めることを強く求める」としている。

