がんと診断されるとさまざまな検査を受けて、患者さんの体内でどのようながんが、どの程度拡がっているのか調べる必要があります。
どのような検査が、どのような理由で実施されるのかわからないまま検査に追われると、苦痛に感じる患者さんもいるでしょう。
患者さん自身も検査の必要性や、検査でわかる内容を理解して、主体的に検査に協力しましょう。
今回は食道がんになった際に受ける、血液検査の方法や目的を解説します。
食道がんの原因や治療法も解説するので、治療の参考にしてください。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
食道がんとは?
食道がんとは、のどと胃をつなぐ管状の臓器、食道の粘膜に発生するがんです。進行すると粘膜から深層の粘膜下層、固有筋層、外膜へと拡がります。
食道は肺や大動脈、心臓などの生命維持に重要な臓器と隣接しているため、食道がんが見つかった際は転移のリスクに警戒する必要があります。
60〜70歳代の男性に多く見つかるがんです。
食道がんで行う血液検査
食道がん治療のために受ける血液検査とは、一般的には腫瘍マーカー検査を指します。
腫瘍マーカー検査とは、患者さんの体液の成分を専用の分析装置を使って測定する検査です。血液のほか、尿でも測定が可能です。
患者さんの身体への負担が少ないメリットがあります。以下では腫瘍マーカー検査の目的や、検査からわかる内容を解説します。
がんの種類によって作られる物質を調べるときに実施する
食道がんの血液検査、腫瘍マーカー検査で調べているのは、体液中の腫瘍マーカーの種類や数値です。
腫瘍マーカーとは、がん細胞が放出する物質の総称です。がんの種類によって、放出される腫瘍マーカーの種類や量が異なります。つまりがん細胞が活動する際の副産物を、患者さんの体液中から探すのが腫瘍マーカー検査です。
食道がん細胞が放出する腫瘍メーカーは、SCC(扁平上皮がん関連抗原)やTPA(組織ポリペプチド抗原)、CEA(がん胎児性抗原)です。
治療効果を見るときに実施する
がんが作り出す物質が体内に存在するか検査する腫瘍マーカー検査は、以下のような目的で実施されます。
診断の補助
診断後の経過観察
治療の効果測定
ただし腫瘍マーカー検査のみから、上記の判断はできません。以下のような検査と組み合わせて、医師が総合的に判断します。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
上部消化管造影検査
CT検査・MRI検査
PET検査(陽電子放射断層撮影検査)
超音波(エコー)検査
超音波内視鏡検査
上部消化管内視鏡検査や上部消化管造影検査は、食道がんの診断のために実施されます。対してCT検査やPET検査などは、食道がんの進行度を調べるために実施されます。
検査の精度は参考程度である
がん治療に伴って実施される血液検査、腫瘍マーカー検査では、分析結果の数値から体内にがん細胞があるかの調査が可能です。ただし、がん細胞の発生以外に、以下のような要素でも数値が変動します。
薬の影響
肝障害
腎障害
飲酒
喫煙
がん以外の疾患
がん以外の要因でも数値が変動するため、腫瘍マーカー検査の結果は、あくまでひとつの判断材料と理解しておきましょう。
血中にあるがん由来のctDNAを調べる検査もある
食道がんで実施される血液検査には、腫瘍マーカー検査のほかに超高感度血液検査があります。
超高感度血液検査とは、血液中に流れるがん細胞から剥がれ落ちたctDNA(腫瘍細胞由来血中循環遊離DNA)を、デジタルPCRと呼ばれる技術で測定する検査です。腫瘍マーカー検査やCT検査よりも精度が高く、いち早くがんの再発を発見できる検査として期待されています。

