階段を登るときに太ももに痛みを感じることはありませんか?普段の生活ではあまり意識しない動作でも、階段を登る際には太ももの筋肉に大きな負担がかかります。
この痛みの原因は筋肉疲労や運動不足によるものから、大腿四頭筋炎症、股関節の異常、神経の圧迫など、さまざまな要因が考えられます。
なかでも、運動不足の方が急に階段を利用したり、長時間の移動後に階段を登ったりすると、筋肉が疲労しやすくなり、痛みにつながることがあります。
本記事では、階段を登ると太ももが痛くなる原因と、その対処法について詳しく解説していきます。

監修医師:
眞鍋 憲正(医師)
信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。
太ももが痛む原因

それでは、まず太ももが痛む原因について見ていきましょう。
筋肉痛・肉離れ・骨折などのケガ
突然太ももに痛みを感じた場合、以下のような原因が考えられます。
●筋肉痛
筋肉を大きく伸ばす運動(階段を降りる、スクワット、キックなど)が原因で、大腿四頭筋(太ももの前側)やハムストリングス(裏側)に起こる症状です。
予防には運動前後のストレッチが有用なほか、運動後のアイシングも痛みの緩和に役立ちます。
●肉離れ
急なダッシュやジャンプなど、筋肉に強い負荷がかかる動作で筋肉が部分断裂する怪我です。
痛みとともに張りや腫れを伴い、場合によっては“ブチッ”と音がすることもあります。
放置すると再発しやすく、早期の診察と治療が必要です。
●骨折
太ももの骨折は、転倒やスポーツなどによる強い衝撃、あるいは骨粗鬆症による骨の弱化が原因となります。
痛みと腫れが顕著で、骨粗鬆症の方では軽微な衝撃でも発生する可能性があります。
骨折が疑われる場合、整形外科での精密検査(レントゲンやMRI)が必要です。
病気が隠れている
太ももに痛みを感じるものの、怪我とは異なる場合、病気が原因となっている可能性があります。
例えば坐骨神経痛では、太ももの前や裏にチクチク・ピリピリする痛みが生じることがあります。
この痛みは、腰椎のトラブルや神経の圧迫によるものです。
また、深部静脈血栓症では、太ももの腫れや痛みが見られ、重篤化すると命に関わることもあります。
さらに、筋肉や骨に関わる炎症や腫瘍が原因のケースも考えられます。
太ももの筋肉の役割と種類

痛みが生じることのある太ももですが、どのような構造になっているのでしょうか。
以下で解説します。
太もも前側の大腿四頭筋
大腿四頭筋は、膝関節の伸展と股関節の屈曲に関わる筋肉群で、身体のなかでも体積が大きい複合筋です。
大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋の4つの筋肉で構成され、それぞれ異なる役割を持っています。
大腿直筋は大腿四頭筋の中心となる筋肉で、膝を伸ばすだけでなく股関節を曲げる独自の働きがあります。
腰を曲げたり足を前に上げたりする際に活躍します。
内側広筋は太ももの内側にあり、つま先を外側に開く動作や足を踏ん張る際に重要な筋肉です。
外側広筋は大腿四頭筋のなかで一番大きく、膝を伸ばしたりつま先を内側に寄せたりする際に使われます。
中間広筋は深層に位置し、膝を伸ばす際にほかの筋肉をサポートします。
日常の動作や運動に欠かせない大腿四頭筋は、体の動きを支える中心的な役割を果たします。
太もも裏側のハムストリング
ハムストリングは太ももの裏側に位置する筋肉群で、膝関節の屈曲や股関節の伸展を担います。
日常生活では膝を曲げたり足を引いたりする動作で活躍し、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つで構成されています。
大腿二頭筋は外側に位置し、長頭と短頭で構成されています。
長頭は膝を曲げるだけでなく股関節を伸ばす働きもありますが、短頭は膝の屈曲に特化しています。
半膜様筋は内側に位置し、筋肉の膨らみが膝寄りにあるため膝関節の屈曲で主に使われます。
半腱様筋も内側に位置し、半膜様筋を覆うように走行しています。
短距離走の選手に発達しやすく、特に股関節の伸展に重要です。
これらの筋肉は大腿四頭筋と拮抗しながら体のバランスを保ち、動作をスムーズにする重要な役割を果たします。
太もも内側の内転筋群
内転筋群は、股関節を内側に閉じる動きや足を内側に回す動きに関与し、日常生活では歩行や体の安定に重要な役割を果たします。
恥骨筋、大内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋の5つで構成されています。
恥骨筋は内転筋群の最上部に位置し、股関節の内転と屈曲を担います。
この筋肉の柔軟性を保つことで骨盤の安定が向上します。
大内転筋は大きく、股関節を閉じたり伸ばしたりする際に活躍します。
長内転筋は大内転筋の前にあり、股関節の内転を支える筋肉です。
この筋肉が弱まるとO脚の原因となることがあります。
短内転筋は長内転筋を補助し、内転や内旋の動きを担います。
薄筋は股関節と膝関節の動きに関わる二関節筋で、内転に加えて膝を曲げる動作にも重要です。
これらの筋肉は股関節や骨盤の安定性を保つために欠かせない存在です。

