午後から息子と公園で遊ぶ約束だったのに、時間前に家にやってきたお友達。主人公・ゆかこはやんわりと帰そうとしますが、彼の様子と言葉からあることに気づいてしまったのでした。
お昼ご飯を用意してくれないお家
「あれ?ともやくん。こうたと遊ぶのは、お昼すぎからだよね?」
私は、ともやくんを家に入れる前に、以前のこともあり少し厳しめの口調で尋ねました。
「お家でお昼ご飯を食べてから、またおいで?」
午前中から遊びにきても、こうたはいませんし、家で預かることもできません。するとともやくんは、少し俯き加減で、信じられないようなことを言ったのです。
「僕、家にお昼ご飯なんてないよ」
あまりにもしれっと放たれたその言葉に、私の頭は一瞬にして真っ白になりました。
「え…?」
「おなかもすいてないから、またトランポリンしてたいんだけど…」
彼は、何の悪気もない表情で言いました。しかし私は、彼の言葉に衝撃を受けていました。休日の昼ごはんがないって、どういうことなんだろう?
(これは…もしかして、ネグレクト…?)
私は、一気に不安な気持ちになりました。もしかしてともやくんは、かなり深刻な状態にあるのかもしれない…。まさにその瞬間「ただいまー!」と剣道のお稽古を終えたこうたが、元気な声で帰宅しました。
「ともやくん、来てたんだ!公園行こう!」
剣道の竹刀袋を玄関に置き、急いで靴を履き替えるこうた。私は、ともやくんの言葉の衝撃を引きずりながらも、2人が遊びに行くのを止めることはできませんでした。
夜19時に1人でやってきた友達
子どもたちを遊びに見送ったあと、私はしばらく、キッチンで立ち尽くしてしまいました。
(ネグレクトなのかな…でも、親御さんのことも知らないのにどうすれば?)
「よその家」という境界線と、ともやくんを心配する倫理観の間で、私の心は激しく揺れ動きました。結局、その日は「深入りしない方がいい」という、臆病な考えが優勢となり、私はただ、重い気持ちを抱えたまま週末を過ごしました。
しかし、私の葛藤を嘲笑うかのように、その翌日、つまり日曜日に、とんでもないことが起こりました。私たち家族が、平和に食卓を囲み、夕飯を食べていた、夜7時頃のことです。
「ピンポーン」
家のチャイムが鳴りました。こんな時間に、一体誰だろう?と訝しげに玄関を開けると、そこに立っていたのはともやくんだったのです。
「ともやくん!どうしたの?もう夜だよ?」
私は少し戸惑いながら、声をかけました。すると、ともやくんは、またしても信じられない言葉を口にしたのです。
「ママがね、こうたくんちにお泊りしてきなさいよって。なんか、ママの友達がくるみたいで…」
耳を疑いました。夕食時、日曜日の夜、何の連絡もなく、自分の子どもを「泊めてもらえ」と、よその家に送り出す。そんな常識が、この世にあるのでしょうか。
「え…ちょっと待って、ともやくん。それは困るよ」
私は冷静になろうと努めました。泊めるなんて絶対にできません。親のことも知らないよそのお子さんを預かる責任はとれませんし、何より相手の親の要求が常識外れすぎます。

