葉酸の効果

細胞の生産と再生
生命を維持し、増殖し、子孫へと情報を伝える遺伝情報に関わる核酸という成分の合成に深く関与しています。核酸とは、細胞の核の中、細胞質やミトコンドリアにも存在しています。
動脈硬化を予防
葉酸には、体内でアミノ酸が代謝される過程で生じるホモシステインという物質の濃度を低下させる働きがあります。ホモシステインが血中で増えると、血管の内壁を傷つけて動脈硬化の一因になると考えられています。葉酸を十分に摂取することでホモシステインの濃度を適正に保ち、結果として動脈硬化や心血管疾患のリスクを下げる可能性があるとされています。ただし、葉酸の摂取が動脈硬化を直接的に予防することを示す明確な因果関係は、現時点では確認されていません。
貧血の予防
葉酸は、ビタミンB群の一つで、特に赤血球の生成において重要な役割を果たします。ビタミンB12と協力して血液を作る働きがあり、赤血球を生成するために必要不可欠で、不足すると未熟な赤血球が生成されることにより、巨赤芽球性貧血と呼ばれる症状を引き起こす可能性があります。
胎児の成長や妊娠維持
胎児の神経管は妊娠4週ごろ、妊娠が判明する前の段階で形成されます。この時期に母体に十分な葉酸があることで、神経管閉鎖障害の発症リスクが大きく減少することが分かっており、葉酸の摂取は「妊娠前から始めること」が推奨されています。
粘膜の健康保持
葉酸は、細胞分裂や再生を助ける働きがあるため、細胞の入れ替わりが活発な口腔や消化管などの粘膜の健康維持に重要な役割を果たします。葉酸が不足すると、粘膜の再生が滞り、口内炎や舌炎、食欲不振、下痢などの症状が現れることがあります。重度の不足が続くと、粘膜の修復が遅れることで胃や腸の不調を引き起こすこともあります。
葉酸が不足すると現れる症状

巨赤芽球性貧血(大球性正色素性貧血)
葉酸は赤血球の成熟に欠かせない栄養素です。不足すると赤血球が正常に分裂・成長できず、通常よりも大きく未熟な「巨赤芽球」が増えることで、貧血が起こります。これを巨赤芽球性貧血と呼びます。主な症状には、めまい、息切れ、動悸、顔色の悪さ、倦怠感などがあり、進行すると立ちくらみや集中力の低下が見られることもあります。
粘膜の異常(口内炎・舌炎・消化器症状)
葉酸は細胞の再生を助ける働きがあるため、粘膜の健康維持に深く関わっています。不足すると、口内炎や舌の赤み・痛み、舌炎、食欲不振、下痢などの症状が現れやすくなります。粘膜の再生が遅れることで炎症が長引くこともあります。
胎児の神経管閉鎖障害
妊娠初期に母体の葉酸が不足していると、胎児の神経管(脳や脊髄のもとになる器官)の形成がうまく進まず、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害のリスクが高まることが知られています。妊娠を計画している、または妊娠初期の女性は、食事に加えてサプリメントなどからモノグルタミン酸型葉酸を1日400μg摂取することが推奨されています。
高ホモシステイン血症と動脈硬化
葉酸は、アミノ酸代謝に関わり、血中のホモシステイン濃度を正常に保つ働きを担っています。葉酸が不足するとホモシステインが血中に蓄積し、血管の内壁を傷つけて動脈硬化の一因になると考えられています。高ホモシステイン血症は心筋梗塞や脳梗塞などのリスク因子の一つとされており、葉酸・ビタミンB6・B12をバランスよく摂ることが予防に役立ちます。
アルコール摂取による葉酸吸収の低下
アルコールを多く摂取すると、体内での葉酸の吸収や利用が妨げられることが知られています。葉酸は主に小腸で吸収されますが、アルコールは小腸の粘膜を傷つけ、吸収機能を低下させてしまいます。その結果、食事から十分に葉酸を摂っていても、体内で有効に利用できず欠乏状態に陥ることがあります。さらに、アルコールは肝臓での葉酸の貯蔵量を減らし、尿中への排泄を増やすため、慢性的な飲酒習慣がある人では体内の葉酸が著しく不足することがあります。こうした状態が続くと、巨赤芽球性貧血や粘膜障害、倦怠感などの症状が現れるほか、妊娠中の場合は胎児の発育にも影響を及ぼすおそれがあります。

