
暑い時期と寒い時期では必要なものが違う!
近年は夏の暑さが長く続き、秋を感じる間もなく急激に寒さが訪れるようになっているように感じます。慌てて「衣替え」をしたという方もいるのではないでしょうか。
防災用品 も同じように、季節に合わせた見直しが必要です。夏仕様の防災用品を、寒さに備えた「冬仕様」に切り替えておくことで、いざという時に体を冷やさず、安全に過ごすことができます。
今回は、防災用品の“衣替え”として、普段の生活の延長でできる工夫や、実体験から「これがあると安心」と感じた冬の寒さ対策に役立つアイテムを紹介します。
ニット帽・ネックウォーマー・靴下は“軽くて温かい三種の神器”
冬の防災対策でまず意識したいのが、「体の熱を逃がさない工夫」です。特に頭・首・足先は冷えやすく、ここを温めるだけで体感温度が大きく変わります。
なるべく肌を露出させない工夫が大切です
ニット帽は髪の隙間から逃げる熱を防ぎ、就寝時にも活躍します。ネックウォーマーはマフラーよりも軽く、解ける心配もないため、移動時や避難所での着脱がしやすいのが魅力です。
そして厚手靴下は、避難所や電気の停まった自宅の冷たい床やコンクリートの上で過ごす際に欠かせません。
これらは軽くてかさばらないため、防災バッグのスペースを圧迫しないのもポイントです。
私の家庭では、衣替えの際に家族それぞれの防災バッグを開け、サイズが合っているかを確認するようにしています。特に子どもは成長が早いので、去年のものが小さくなっていることも。「毎年の衣替え」は、家族の成長や生活の変化を反映させる良い機会でもあります。
大判ストールは“マルチ防寒アイテム”
1枚あるだけで何役もこなす便利なアイテムが、大判のストールです。首に巻けばマフラーに、肩にかければブランケットに、膝にかければひざ掛けとしても使えます。柔らかく軽い素材なら、赤ちゃんのおくるみ代わりにもなり、用途の幅が広がります。
フリースのハーフブランケットもおすすめです
私自身、東日本大震災 で職場から外の駐車場へ避難した際、防寒具を持って出られず、ストールを肩からかけて過ごしました。避難時間は1時間ほどでしたが、職場は海沿いだったため、北風と海風が吹くなかの避難は体が冷え、辛かったのを覚えています。ストールでを覆うだけでも、寒さの感じ方はまったく違いました。
その経験から、わが家では防災バッグの中に大判ストールを入れるようにしています。軽くたためる素材なら、バッグの中でも場所を取りません。車の中に入れておくのもおすすめです。
体も心も温める“非常食のひと工夫” スープ類
災害時の食事は、温かいものがあるだけで心がホッとします。そこでおすすめなのが、フリーズドライやカップタイプのスープです。
味噌汁やスープなど、好みに合わせてストック
お湯を注ぐだけで簡単に食べられ、味噌汁や中華スープなど種類も豊富。最近はパスタやパンが入ったものもあるので、食事としても重宝します。
軽くて省スペースなので、防災バッグや車載用の備えにも入れやすいのが特徴です。スプーンや紙コップなど、必要なものも一緒に袋にまとめておくと、すぐ使えて便利です。
寒い時期は体温を保つためにも、温かい飲食物をとることが大切です。特に停電時は、温かい食事がすぐに手に入れられない場合もあります。暖房も効かないなか、寒さを耐えるのはこた堪えますし、いつ復旧するのかもわからないため“こんな生活がいつまで続くのだろう…”と不安になることもあります。そうした時に、お湯さえあればすぐ食べられるスープがあると、体が温まるのはもちろん、気持ちの安定にもつながります。
私は普段からフリーズドライのスープを、お弁当や時間のない朝食にプラスアルファして活用しています。ローリングストック(使いながら備える)を意識し、賞味期限が近いものを使ったら新しいものを買い足し、常にストックしています。味の好みや子どもの食べやすさを確認できるのも、普段から取り入れるメリットのひとつです。
“使っていない保温水筒”が災害時に便利
「保温できる水筒」は、冬の防災用品として意外に頼りになる存在です。使っていないステンレスボトルを防災バッグに入れておくだけで、非常時の活躍度がぐっと上がります。
貴重なお湯は水筒を使って暖かさをキープ
災害時は、温める手段が限られるため、お湯はとても貴重です。ステンレスボトルがあれば、温かい飲み物を長く保てます。また、断水時に水を持ち運ぶ容器としても重宝します。保温タイプであれば冷水でも結露しにくく、バッグの中が濡れない点もメリットです。
災害時は電気や水が止まり、お風呂に入れなくなることも。タオルにお湯をかけて体を拭けると、気持ち的にもすっきりします。
新たに買い足さなくても、使っていない水筒や、夏にしか使わない大容量の水筒を活用すれば十分備えになります。
季節の変わり目を感じたら「防災用品の衣替え」を
夏が長くなり、秋から冬へと季節が急激に変わった冬の訪れが遅くなった今こそ、防災用品の“衣替え”を意識したい季節です。寒さ対策をしておくことで、災害時の快適さや安心感は大きく変わります。
「去年のままで大丈夫」と思っていても、家族の成長や生活スタイルは少しずつ変わっています。衣類の整理と一緒に防災バッグを開け、今の自分や家族に合った中身に整え直してみましょう。
本格的な冬を前に気温が下がり始めたした今が、見直しのベストタイミングです。小さな準備が、いざという時の大きな安心につながります。
<執筆者プロフィル>
海老原葉月
ライター、整理収納アドバイザー1級
13歳、10歳、1歳の三兄弟を子育て中。東日本大震災、令和元年房総半島台風にて被災した経験から、防災に関する情報を発信。
