
横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第45回「その名は写楽」が11月23日に放送された。蔦重(横浜)のために妻・てい(橋本愛)が動いた展開に、視聴者から「今回のMVP」と声が上がるほど大きな反響が寄せられた。(以下、ネタバレを含みます)
■数々の浮世絵師らを世に送り出した“江戸のメディア王”の波乱の生涯を描く
森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が花開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く痛快エンターテイメントドラマ。
蔦重はその人生の中で喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見い出し、また日本史上最大の謎の一つといわれる“東洲斎写楽”を世に送り出すことになる。
美人画が大評判となる喜多川歌麿役で染谷将太、蔦重の妻・てい役で橋本愛らが出演。語りを綾瀬はるかが務める。
■蔦重は喜三二や重政らと“写楽”を誕生させる
松平定信(井上祐貴)や元大奥総取締役の高岳(冨永愛)らから、“操り人形の傀儡好きの大名“=一橋治済(生田斗真)への仇討ちのため、「平賀源内(安田顕)が生きているのではないか」と世間を騒がせるように命じられた蔦重。
芝居小屋が建ち並ぶ芝居町で、“素の顔”の役者たちが通りで総踊りする「曽我祭」が開かれると聞き、それに合わせて源内が書いたと思わせる役者絵を出すことを思い付いた。
蔦重は、北尾重政(橋本淳)、北尾政演(古川雄大)、朋誠堂喜三二(尾美としのり)、大田南畝(桐谷健太)、宿屋飯盛(又吉直樹)、唐来三和(山口森広)、北尾政美(高島豪志)というなじみの絵師、戯作者と、蔦重のもとで本を書きたいとやって来た重田貞一(井上芳雄)に協力をしてもらうことに。
いわばチーム戦だ。重政ら絵師には源内風の絵を考えてもらい、戯作者の喜三二や南畝らには源内だと思わせる画号や戯作の筋のように騒ぎが派手になる仕掛けを考えてもらう。
画号については、“しゃらくせえ”をもじった「しゃらくさい」という喜三二の案から、蔦重が「この世の楽を写す」または「ありのままを写すことが楽しい」という思いを込めて「写楽」と漢字を当て、すぐに完成した。
しかし、絵のほうは「もう一回」「もう一回」と蔦重のダメ出しが続いた。
■ていが歌麿の元を訪れ、「恋文への返事です」と絵を渡す
蔦重のあまりのダメ出しに耐え切れずに重政が怒り、政演はたまらず「歌さんは呼んでこれねぇの?歌さんならなんとかできんじゃない?」と口にした。
画風を言語化するのはただでさえ難しい。そのうえ、蔦重自身もどんな絵を自分が求めているのか悩んでいたのも確かだ。だがその後、蔦重は歌麿が「婦人相学 十躰」のために書いた下絵のように役者絵を描ければ面白いのではという考えにたどり着いた。政演の言葉、そして蔦重のその考えを聞いたていは、歌麿の元に向かった。
ていは持参した「歌撰恋之部」を床に並べた。歌麿が描いた五図の下絵を、蔦重が彫りと摺りを指示して完成させたものだ。受け取ってほしいと言うていに、「差し上げたものなので」と背を向けたまま答える歌麿。
すると「これは、蔦屋重三郎からの恋文にございます」とてい。歌麿は視線を横に流しながらも、体は動かさずに無言を貫く。ていは「正しくは、恋文への返事にございます」と言い直し、ひと目でも見てくれないかと頭を下げた。
歌麿は並べられた絵の前に座り、1枚を手に取った。ていは、“毛割”といわれる髪の毛1本1本の表現や色味、着物の柄など、摺師と大喧嘩するほどに歌麿の好みにこだわって仕上げたと説明する。
そして、蔦屋の板元印と歌麿の印については、最後まで悩み、「歌さんを立たせるべきだが、自分と歌さんの仲に上下はつけたくはない、肩を並べ、共に作りたいと思っていることを伝えたいと、歌さんの名が上のものが三図、蔦屋の印が上のものが二図と落ち着きました」と明かした。
印については、前回、吉原で蔦屋が上のものを歌麿が目に留めていた。五図という揃い物にして初めて蔦重の思いが伝わった。
■蔦重と歌麿の仲を取り持つてい、視聴者から「おていさん、腐女子!?」の声も
本題はそこからだ。「歌さん、よそにもすばらしい本屋はおりましょう。けれど、かように歌さんのことを考え抜く本屋は、二度と現れぬのではございませぬか!」とてい。
ここに至るまで、よその本屋と仕事する歌麿が、絵に何も意見されないことにいらついているさまが映し出されていた。ていの言葉が深く響く。
そんなていは次いで驚くべきことを口にした。「私は出家いたします」というのだ。暇のない蔦重の代わりに、これまで関わった人の菩提を弔うため。しかし、歌麿は「うそだね」とあっさりと見抜いた。
ていは本音を言う。「見たい。二人の男の業と情、因果の果てに生み出される絵というものを、見てみたく存じます。私も本屋の端くれ。サガというものでございましょうか」。
すると、視聴者から「おていさん、腐女子!?」「ここまでドラマを見届けてきた腐女子がおていさんの言葉に首がもげるくらいの勢いでうなずいている」「おていさんには腐女子の素質が大いにある」「こんなところで腐女子の鑑の発言を見ようとは」「おていさんは腐女子というよりは、激重ブロマンス好きの重度のヲタク出版社って感じだ」「強火担だった」といった声がSNSに上がった。“腐女子”とはBLを好む女子のことで、“ブロマンス”とは男性同士の強い絆や関係のこと、“強火担”とは推し強い熱量で応援することを意味する。
歌麿の蔦重への恋心に気付いていたていだけにそんな声も上がったが、本屋の“サガ”として、すばらしい作品を見たいというのが確かな本音。蔦重と歌麿との長い関係の途中からではあっても、そばにいたからこそ、本屋だからこそ分かる2人の才能なのだ。これにより、再び歌麿は蔦重のところに戻ることになり、さらに歴史に残る名作を誕生させていく。視聴者からは「今回のMVP」「おていさん、ありがとう」「おていさんの口説きに胸熱」「おていさん、かっこいい」との称賛も続々と寄せられた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

