■「同級生が遊んでいる中での孤独な戦い」
多くの高校では、3月上旬には卒業式を終えています。私立大や国立前期で合格を決めた同級生たちが「春休み」を謳歌し、旅行や遊びの計画を立てている中、後期組は一人、机に向かわなければなりません。
X(旧Twitter)では、当時の心境について以下のような投稿が見られます。
「前期で落ちて、心がボロボロの状態での敗者復活戦。周りが浮かれている中で気を抜かずに過ごす2週間は地獄だった」
「後期試験の日、会場の窓から外を見たら景色が全部灰色に見えた。それくらい精神的に追い詰められていた」
メンタルの維持だけでも困難な状況下で、さらに「宿が取れない」というトラブルは、受験生にとってあまりにも残酷な追い打ちと言えるでしょう。
■「試験前夜に大部屋で…」経験者が語るリアル
実際に20年前、筑波大学の後期試験を受けた経験を持つ元受験生(40代・女性)は、当時の過酷な状況をこう振り返ります。
「前期は東京の大学を志望していて、後期のことは1ミリも考えていませんでした。でも前期が残念な結果になり、急遽、後期の勉強を始めることに。周りが進路を決めて遊んでいる中、メンタルはボロボロ。家族とも誰とも口をききたくないほど追い詰められていました」
さらに彼女を襲ったのが、今回の騒動にも通じる「宿」の問題でした。
四国から筑波へ向かうための宿を親が手配してくれたものの、予約がギリギリだったため個室が取れず、通されたのはまさかの「大部屋」。
「見知らぬ受験生たちが雑魚寝するような部屋でした。全員がピリピリしていて、試験前からメンタルもテンションも最悪の状態。一睡もできないまま朝を迎えた記憶があります」
もちろん、これは20年前のエピソード。現在はつくばエクスプレス(TX)の開通などで大学周辺のアクセスや開発も進み、宿泊施設の選択肢は当時より増えているでしょう。
しかし、どれだけ環境が変わっても、受験生が抱える「後がない」という心理的プレッシャーだけは今も昔も変わりません。

