明確なきっかけがないにもかかわらず足の痛みが続く場合、さまざまな疾患が隠れている可能性があります。痛みの部位や性質、随伴症状を丁寧に観察することが原因特定への第一歩です。骨や関節、筋肉、神経、血管など複数の組織に由来する可能性があり、それぞれに特徴的な症状があります。本章では足の痛みの原因となる主な疾患について、その特徴と見分け方を解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
原因不明の足の痛みが示すもの
足の痛みは日常的によく経験する症状ですが、明確なきっかけがないにもかかわらず痛みが続く場合、さまざまな疾患が隠れている可能性があります。運動や外傷といった明らかな原因がない足の痛みは、骨や関節、筋肉、神経、血管など、複数の組織に由来することがあります。
痛みの部位や性質によって考えられる疾患は異なります。足全体が重だるく感じる場合は血流障害や神経障害が、特定の関節に限局した痛みであれば関節炎やリウマチ性疾患が疑われます。また、夜間に痛みが強くなる、安静時にも痛むといった特徴がある場合は、より専門的な検査が必要となることがあります。痛みの性質や随伴症状を丁寧に観察することが、原因特定への第一歩となります。
骨や関節に由来する痛み
骨や関節が原因となる足の痛みは、年齢や生活習慣と密接に関係しています。変形性関節症は加齢に伴う軟骨のすり減りによって生じ、膝や股関節、足首などに痛みや腫れを引き起こします。朝起きたときや動き始めに痛みが強く、動いているうちに軽減することが特徴です。
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、複数の関節に炎症が起こります。足の指や足首の関節に左右対称の痛みや腫れが現れることが多く、朝のこわばりが30分以上続くことが診断の手がかりになります。早期発見と治療開始が関節の変形を防ぐために重要とされています。ただし、症状の進行には個人差があり、必ずしもすべての方が同じ経過をたどるわけではありません。
骨粗しょう症による圧迫骨折も、原因不明の足の痛みとして現れることがあります。特に閉経後の女性や高齢の方では、わずかな衝撃でも骨折が生じる可能性があり、足や腰の痛みが続く場合は骨密度検査を含めた評価が必要です。
神経や血管に関連する痛み
神経障害による足の痛みは、しびれや灼熱感を伴うことが特徴です。糖尿病性神経障害は、血糖値の高い状態が続くことで末梢神経が傷つき、足先から徐々にしびれや痛みが広がります。感覚が鈍くなることもあり、傷に気づきにくくなるため注意が必要です。血糖コントロールの状態により、症状の進行速度や程度は変わってきます。
坐骨神経痛は腰椎の問題から生じることが多く、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが走ります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因となることが多く、姿勢や動作によって症状が変化するのが特徴です。症状の強さや範囲には個人差があります。
血管に由来する痛みとしては、下肢の動脈が狭くなったり詰まったりする末梢動脈疾患が挙げられます。歩行時に足が痛くなり、休むと軽減する間欠性跛行という症状が典型的です。喫煙歴のある方や糖尿病、高血圧、脂質異常症を持つ方はリスクが高くなる傾向にあります。これらの基礎疾患の管理状態によって、症状の出現や進行は影響を受けます。
まとめ
原因不明の足の痛み、発熱、腹痛、青あざ、体調不良など、身体が発するさまざまなサインには、それぞれに多様な原因が潜んでいる可能性があります。これらの症状は日常的によく経験するものですが、長期間続く場合や生活に支障をきたす場合は、専門的な評価が必要です。自己判断で対処するのではなく、適切なタイミングで医療機関を受診し、詳しい検査と診断を受けることが、根本的な解決への第一歩です。
原因不明の症状に対しては焦らず段階的に対応していくことが重要で、医療機関での適切な評価と治療、そして自身でのセルフケアを組み合わせることで、症状の改善と生活の質の向上を目指しましょう。
参考文献
日本内科学会 原因不明の症状への対応
日本血液学会 出血傾向について
日本整形外科学会 足の慢性障害
日本消化器病学会 腹痛の診断

