●夫の告白→ぶん殴る→冷静になる
電話で久々に夫の声を聞き、Aさんは初めて「デリヘルの利用」「本番強要の疑いでの逮捕」を知った。
帰宅した夫を玄関先で「ぶん殴った」とAさんは振り返る。夫は会社にも正直に伝え、不問とされたため、覚悟していた「クビ」だけは免れた。
ただ、子どもたちも事情を知り、今もAさんや家族に「頭が上がらない」状態だという。
「離婚も考えました。でも20年以上の結婚生活がありましたし、本人が『初めてだった』『酒の勢いもあった』と言うので、私に操を立てて、本番を強要していないという言葉を信じようと思いました」
もちろん、妻との関係修復という動機がある以上、夫の説明がすべて事実とは限らない可能性には留意する必要がある。
●「悪質な店があることを知ってほしい」
夫の言葉を信じるAさんからすれば、夫は「ハニートラップの被害者」という立場だ。
夫の弁護士が、女性個人ではなく、「店側」を相手に交渉していたことを後から知ったという。
「一番悪いのは、デリヘルを利用した夫です。でも、なぜ女性ではなく、店を相手に大金を支払う必要があるのかわかりません。
夫が被害に遭ったと考える妻としては、このように本番強要されたと被害届を出して、示談金をせしめる悪質な風俗店があることを世間に注意喚起したいのです」

今回、夫は家族を失う危機と、仕事を失う危機だけは逃れられた。これはまだ不幸中の幸いだったのかもしれない。自宅のローンはまだ10年残っているという。

