●逮捕されて「冤罪」を主張できるのは一握り
──多くのケースで問題になるのは密室での行為です。基本的には示談を目指すのでしょうか。
非常に難しい問題ではありますが、事実上、多くのケースで、やっていようがやっていまいが、示談を目指すことが多いと思われます。
その理由ですが、日本の司法では、捜査段階において、警察がどのような証拠を持っているのか、弁護人にはほとんどわかりません。ゆえに、起訴・不起訴、有罪・無罪の見通しが非常に立ちづらいからです。
上述のとおり、不同意性交等罪は、前科前歴がなくとも実刑になる可能性がある非常に重い罪ですから、万が一にも起訴され、有罪になった場合のダメージは計り知れません。
それを考えると、示談して、起訴を免れる(起訴後なら執行猶予を得る)というのが、1つの有力な選択肢になってきます。
なお、あくまでも一般論ですが、不同意性交等罪は、示談しても起訴されたり、執行猶予が付かず実刑になる可能性も十分ある重い罪ですが、風俗店絡みの不同意性交等罪の場合、示談すれば、不起訴や執行猶予は比較的得やすいと思われます。
●「誓約書」を書くメンズエステに注意
──ほかに注意すべきことがありますか。
「メンズエステ」に関するトラブルは増えている印象です。表向き「風俗ではない」という建前があり、施術前には「性的サービスを求めない」といった誓約書にも署名させられます。

このため、何かトラブルがあったときに、客側がより疑われやすいのが、風俗ではない建前をとっている「メンズエステ」だと言えると思います。
実際、メンズエステの「建前」を利用した悪質なセラピストや店に関する相談を受けたこともあります。風俗店を利用される際には「危ない橋」は渡らないように気をつけていただきたいと思います。
【取材協力弁護士】
林本 悠希(はやしもと・ゆうき)弁護士
大阪大学高等司法研究科卒業、2018年弁護士登録、大阪弁護士会所属。2021年1月P&M法律事務所を設立。離婚・男女問題、交通事故、相続・遺言、刑事事件などに注力。弁護士になる前は歌手を目指していた。
事務所名:P&M法律事務所
事務所URL:https://pandmlo.com/

