肝臓がんは日本でも多くの患者さんが命を落としている病気です。その原因のひとつに痛みなどの自覚症状が出にくい点が挙げられます。
自覚症状がほとんどないという肝臓がんは、見つかった頃には深刻化しているケースもある怖い病気です。しかし簡単な検査で悪化の予防も可能です。
今回の記事では肝臓がんの痛みを中心に特徴・原因を解説します。また、すぐに始められる予防法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
肝臓がんとは
肝臓がんとは肝臓の細胞ががん化した状態であり、肝がんとも呼ばれます。肝臓は成人では約800〜1200グラムと体重の約50分の1を占める大きな臓器であり、以下のような働きをしています。
蛋白の合成
栄養の貯蔵
有害物質の解毒・分解
食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌
肝臓が体内で重要な役割を担っていることがわかるでしょう。肝臓がんになるとこれらの働きが機能しなくなり、適切な治療をしなければ死亡リスクがあります。2020年度のがん死亡予測では、年間約2万5000人が肝臓がんで亡くなっていると考えられています。がんのなかでは5番目に多い数字です。
肝臓にできるがんの総称
肝臓がんとは肝臓にできるがんの総称であり、がん細胞の出どころによって2種類に大別されます。原発性肝がんと転移性肝がんの2種類です。
原発性肝がんとは肝臓の細胞ががん化した肝臓から発生するがんで、転移性肝がんとはほかの臓器のがんが転移したがんです。原発性肝臓がんの約90%が肝細胞がんとなります。原発性肝がん・転移性肝がん以外には小児の肝臓がんである肝細胞芽腫などがあります。
沈黙の臓器と呼ばれる自覚症状の乏しいがん
肝臓は疾患があっても自覚症状が現れにくい特徴がある臓器です。肝臓がんになった場合も、症状を手がかりにがんを見つけることは困難です。肝臓がんの初期症状は、目立つ症状はほとんどないといわれています。しかし進行すると以下のような症状が見られます。
腹部のしこり・圧迫感・痛み
腹水・むくみ
黄疸
肝性脳症
肝臓がんは患者さんが異変に気が付くケースよりも、発症リスクの高い患者さんに対する検査で見つかるケース・定期的な検診やほかの病気の検査で見つかるケースの方が多いです。
肝炎や肝硬変が関わりやすい
肝臓がんの主な原因はB型肝炎ウイルス(HBV)・C型肝炎ウイルス(HCV)への感染です。肝炎ウイルスが肝臓内に長期間にわたって留まると、肝細胞で炎症が起こります。
その後、肝臓に炎症が拡がって慢性肝炎・肝臓が硬くなって肝硬変(かんこうへん)と進行し、やがて肝臓がんとなります。これらウイルス感染に起因するケースのほかには、多量飲酒によるアルコール性肝障害や、メタボリックシンドロームに起因するNASH(非アルコール性肝硬変)があります。
肝臓がんの痛みの特徴
肝臓がんの初期ではほとんど痛みを感じないといいます。サイズも大きく、重要な役割を持つ肝臓に痛みを感じないのはなぜでしょうか。また進行した肝臓がんに現れる痛みとはどのようなものでしょうか。
臓器に神経がないため痛みが生じない
肝臓には痛みを感じる神経がありません。そのため肝臓の異変が、痛みを感じられる組織に拡がるまでは、患者さんが痛みを感じることはありません。また痛み以外の症状から、肝臓の異変をキャッチすることも困難です。
その原因は肝臓の大きさにあります。肝臓は大きな臓器であるがゆえに、広範囲まで疾患が拡がらなければ機能が低下せず症状も現れません。
進行すると痛みが現れることも
肝臓がんが進行すると、患者さんは痛みを感じるようになります。痛みは右上腹部に現れるケースが多いです。痛むのは肝臓ではなく、肝臓の周辺組織です。
肝臓がんは初期では鈍痛・圧迫感が感じられますが、症状が進行すると持続的な痛みとなり日常生活が困難になります。この痛みは背中・右肩に拡散しやすいといいます。

