かさまし料理のパイオニア・よっち ー11年越しの夢と自力営業で切り拓いた道ー

かさまし料理のパイオニア・よっち ー11年越しの夢と自力営業で切り拓いた道ー

11年間待ち続けた出版の夢


今年、よっちは念願の本を出版した。だがこの夢は、11年前から持ち続けていたものだった。

「いつか絶対出版したいと思ってた。だから地域のつながりを大切にして、そういう集まりに行って。報道関係者の方がおられたら、『私絶対にいつか出版したいから、そん時はぜひ取材してください』って言って、ちゃんと控えてたんですよ」

出版が決まったとき、よっちは自らプレスリリースを書き、準備していた報道関係者に連絡した。「その時が来ましたって、いろんな人に声をかけて」。その行動力が、出版後の急展開を生んだ。

「出版して、プレスリリースを書いて、いろんなテレビ局に取り上げていただいて。そこからもうどんどん変わってきました」

実際、2025年のメディア露出は昨年の5倍に。テレビ9件、新聞・ラジオ11件。日本海テレビでは月2回の料理コーナーも持つようになった。

さらに驚くべきは、書店への営業だ。「私の本を1冊も置いていない松江市内の書店へ自ら営業し、本を置いていただけることに。手書きポップを何度も書き直して。書店さんととても仲良くなり、サイン会まで行うことになった」。初めてのサイン会は大盛況で幕を閉じた。11月30日にも2回目のサイン会を予定している。

今年はテレビコーナーももらい、料理教室の仕事も増えた。「伝えるって楽しいなあって、自分の料理の技術を伝える楽しさに気づきました」

一人暮らしを控えた高校生も、偏食の子も


よっちの本は、想定外の層にも届いていた。

「来年から一人暮らしする高校三年生の子が、料理の勉強をしたいって本を買いました、って。こういう活用方法もあるんだなと気付かされました」

一人、二人暮らしの人も、五人前の材料を割ってわざわざ計算して作ってくれる。「割って、計算するのが面倒くさいけれども、それでもよっちさんのレシピはおいしいから作りたいって。一品で満足できるから、献立考えるのがめんどくさいときも役に立つって言ってもらえる」

そして何より、偏食に悩む親たちから。「何々を食べてくれるようになりました、とか。普段これ嫌いだけれども、この料理にしたら食べてくれるようになりました、って教えてくれるんです」

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