クリエイターという選択
なぜ料理研究家ではなく「料理クリエイター」なのか。
「SNSでの発信がメインだったこともあって、クリエイターという呼び方がしっくりきます」
料理を作る、撮る、編集する、発信する。すべてがワンセット。「動画を作ること自体も好きで、撮影することも好きで、編集することも好き」。この総合力が、新しい食文化の伝道師を生んだ。
週4〜5回はせいろご飯。それでも飽きないと言う。「風邪はほぼ引かないです」。自身の体験が何より説得力となる。
革命は続く
「今、せいろブームと言われて一時的な流行り物のような印象を受けていますが、鍋やフライパンと同じように一般家庭に普通にあるものとしてせいろを広めていきたい」
りよ子が目指すのは、一過性のブームではない。日本の調理習慣そのものの変革だ。
著書『すべてを蒸したい せいろレシピ』が今年の料理レシピ本大賞に選ばれた要因をこう分析する。
「これまではプロが作る点心とか、本格的なせいろ本が多い中で、一般家庭のキッチンで気軽に、日常的に楽しめるせいろ本だった。それが革命的というか斬新だったのかな」
自炊ゼロのOLが起こした小さな波紋は、今や大きなうねりとなって日本中の台所を変えている。りよ子が示したのは、誰もが料理を楽しめる新しい道。せいろは単なる調理器具ではなく、日本の食文化が向かう未来の象徴となっている。
【りよ子流・革命の3原則】
「冷蔵庫の残り物が主役」- 特別な食材という概念を捨てる
「失敗は存在しない」- 許容範囲の広さが恐怖を消す
「癒しの10分」- 心の余裕が生まれる調理時間
りよ子/料理クリエイター

せいろの魅力にとりつかれたOL。2023年4月に始めたInstagramで、すべてを蒸したい気持ちを投稿。野菜を蒸すだけのシンプルレシピから、一度に主菜と副菜が完成する同時調理レシピ、ごはんもの、スイーツまで、パパッと作れるレシピが共感を呼び、フォロワー数20万人超えと大人気に。初著書『すべてを蒸したい せいろレシピ』(Gakken)は、累計発行部数30万部越えの大ヒット。「第12回 料理レシピ本大賞 in Japan 2025」において、「料理部門 大賞」を受賞。
Instagram:@musu_riyoco

