バセドウ病は、女性に多く見られる甲状腺疾患です。バセドウ病とはどのような疾患なのか、永島メディカルクリニックの永島先生に詳しく教えてもらいました。

監修医師:
永島 秀一(永島メディカルクリニック)
2001年山梨大学医学部卒業。自治医科大学附属病院のほか、地域中核病院や内科クリニックで勤務し、この間に自治医科大学大学院を卒業。自治医科大学附属さいたま医療センター内分泌代謝科准教授をへて現職。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医・研修指導医、日本動脈硬化学会評議員。
編集部
バセドウ病とはなんですか?
永島先生
簡単にいうと、甲状腺ホルモンが過剰に作られることで、体にさまざまな症状が出現する疾患のことをいいます。自己免疫疾患の一種とされています。
編集部
自己免疫疾患とはなんですか?
永島先生
人間に生来備わっている免疫系が、正常に機能しなくなることで発症する疾患のことをいいます。人間には細菌やウイルスなどの病原体を排除するための仕組みが備わっており、それが免疫系と言われています。この免疫系が暴走し、自分の正常な組織や細胞に対して過剰に反応して、攻撃してしまうのが自己免疫疾患です。
編集部
なぜバセドウ病は自己免疫疾患の一種なのですか?
永島先生
甲状腺ホルモンは、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体を刺激することで分泌されます。いってみれば、TSHが受容体という“鍵穴”に結合することで、甲状腺ホルモンが分泌されるのです。しかし何らかの原因により、TSH受容体に対する抗体が体内で作られ(これを自己抗体といいます)、これがTSH受容体を刺激し続けることがあります。その結果、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されてしまうのです。バセドウ病はこうした自己抗体が関係する病気のため自己免疫疾患の一種とされています。
※この記事はMedical DOCにて<女性に多い「バセドウ病」「橋本病」は何が違う? 同じ甲状腺疾患でも症状や治療は変わる?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

