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この記事は、「農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト」という肩書で活動しているやまけんさんこと山本謙治さんが、「家の光」で2021年12月号~2024年4月号まで連載していた「やまけんのニッポン郷土食遺産」を参考にしています。
「家の光」はJAグループである家の光協会が、農家向けに毎月発行しているファミリー・マガジンで、今から100年前の大正14年(1925年)に創刊しました。「食と農」「暮らし」「協同」「家族」という4つの柱を基本に、JA組合員をはじめ地域の人々の暮らしに役立つ情報を掲載しています。
三重県志摩市の郷土食「てこねずし」の材料と作り方
※今回はやまけんさんの記事と、農林水産省のホームページを参考にして作りました。
【材料】※2~4人分
カツオ…1/4身
青じそ…8枚
紅しょうが…適量
白すりゴマ…適量
米…240g
しょうゆ…大さじ5
みりん…大さじ2
砂糖…大さじ3+小さじ1
酢…大さじ4
塩…小さじ1

米は炊いておきます。
カツオは薄いそぎ切りにしておきます。
青じそは細切りにしておきます。
紅しょうがは細かく刻んでおきます。
【作り方】※調理時間:30分+炊飯時間
1. 鍋にしょうゆ、みりん、砂糖小さじ1を入れて一度煮立て、冷ましておきます。

2. ボウルに砂糖大さじ3、酢、塩を入れて混ぜます。

3. 炊いたご飯をバットに広げます。

4. 広げたご飯に2のすし酢を振りかけて混ぜ、冷ましておきます。

5. 1にカツオを加え、15分浸けます。全体に味が回るように、途中何度かかき混ぜます。

6. 器にご飯を盛ってカツオを乗せ、すりゴマをかけて、青じそと紅しょうがを散らして出来上がりです。

9月から10月は戻りガツオの時期ですので、さっそくスーパーへ行って、なるべく大きめでおいしそうなカツオの柵を買ってきました。郷土料理を紹介する番組ではよく見かける「てこねずし」ですが、食べるのも作るのも実は初めてですので、若干緊張しながらもなるべく薄くカツオをスライス。厚く切る方がおいしいという人も多いですが、ここは記事を参考にして、浸け時間短縮のために薄くしました。
一般的に「郷土料理は味が濃い」と言われますが、確かに材料を見るとしょうゆや砂糖の量が多すぎるような気もします。ですがここは郷土料理の再現にこだわって、記載されている量で調合。スライスしたカツオを加えてから混ぜ、15分浸けている間も均一になるようにときどきかき混ぜます。

炊きあがったご飯はバットに広げ、これも分量通りに作ったすし酢を振りかけて混ぜておきます。炊き立てのご飯ですので、すし酢の甘酸っぱい香りがすぐに立ち上ってきます。冷めるまでに時間があるので、ここで青じそと紅しょうがを刻みます。作り方には先に用意しておくように書いてありますが、もちろんどちらでもかまいません。
予想をはるかに上回る旨さ!
ご飯も冷め、カツオも浸かりましたので、いよいよ盛り付けてさっそく口の中へ。薄切りなのにねっとりとしたカツオの食感と独特の風味が口の中に広がり、酢飯との相性も最高です。青じそ、紅しょうが、すりゴマというおいしい脇役がさらに味を引き立てていて、最初に懸念していた味の濃さなど微塵も感じずにおいしく頂きました。正直、おいしいなんてレベルではなく、予想をはるかに上回る、とんでもなく旨い「てこねずし」でした。これはもう、リピート確定です。恐るべし「てこねずし」。

そもそも「てこねずし」は、三重県志摩市で漁師飯として生まれました。漁業も盛んな地域で、カツオの一本釣り漁船はメディアで取り上げられることも。忙しい漁師さんたちでも、船の上で短時間で食べられるようにと考えられた料理なのです。
さすがに船の上で酢飯を作る余裕はないため、漁師さんは白飯で食べていたようですが、近隣の家庭などに徐々に伝わっていく中で「てこねずし」は変わっていきました。白飯を酢飯にしたり、カツオ以外の魚でも作ってみたりと多くのバリエーションが存在すると言います。
残念ながら最近では、家で作るより外食や中食で食べることが多いそうです。環境の変化による漁獲高の減少や、後継者不足という問題は何も志摩市に限った話ではありません。しかしやまけんさんの記事には、「てこねずし」を守っていこうとする現地の方たちも多く存在していると記されています。郷土料理というくくりの中で語られることの多い「てこねずし」ですが、おいしい料理として、志摩市だけでなく多くの家庭で伝えられていくといいなと思います。せっかくそんなにバリエーションがあるのなら、今回のレシピだけではなく他のレシピでもぜひ試してみたいものです。
とてもおいしい「てこねずし」が出来ますので、ぜひ作ってみてください!
参考Web
農林水産省 うちの郷土料理「三重県 てこねずし」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tekone_zushi_mie.html
山本謙治さん プロフィール
農畜産物流通コンサルタント&農と食のジャーナリスト。学生時代にはキャンパス内に畑を開墾して野菜を生産し、卒業後は畜産関連の調査・コンサルティングの仕事や流通業を経て会社を設立。農業・畜産分野での商品開発やマーケティングに従事する傍ら、日本全国の食を取材して地域の郷土料理や特産物を、書籍やテレビを通じて一般に伝える活動を続けている。

