肩腱板断裂の治療
肩腱板断裂の治療方法は、断裂の程度、患者の年齢、活動レベル、全身状態などを考慮して決定されます。治療の選択肢は、大きく分けて保存的治療と手術的治療の2つです。保存的治療は、主に部分断裂や軽度の完全断裂、高齢者の肩腱板断裂などに適用されます。安静、温熱療法、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用、ステロイド注射などを行いながら、肩周囲の筋力強化や可動域改善のための運動療法などのリハビリテーションも併用します。
一方、保存的治療で改善が見られない場合や、若者で大きな断裂をしていたり、活動性が高かったりする場合などでは、手術的治療が検討されます。手術方法は、腱板修復術、関節包再建術、筋移行術、人工肩関節置換術などです。一般的には、腱板修復術が行われますが、断裂が大きい場合には、関節包再建術や筋移行術などを適用します。
術後は、適切な期間の固定と段階的なリハビリテーションが重要です。リハビリテーションでは、肩関節の他動運動から始まり、徐々に筋力強化訓練へと進みます。完全な回復には数か月を要することが一般的ですが、個人差も大きいため、医師や理学療法士の指導のもと、慎重に進めていくことが必要です。
肩腱板断裂になりやすい人・予防の方法
肩腱板断裂になりやすい人には、いくつかの特徴があります。まず、年齢が大きな要因となり、中高年の方で発症リスクが高まります。これは、加齢に伴う腱の変性が主な原因です。力仕事が多い職業や活動性が高い方も発症リスクが高いです。例えば、建設作業員、画家、美容師など、頭上での作業を頻繁に行う職業や、テニス、水泳、野球などのオーバーヘッド動作を多用するスポーツ選手がこれに該当します。喫煙者や糖尿病患者も腱板の状態に悪影響を及ぼすため、リスクが高くなります。
予防方法としては、適切なストレッチと筋力トレーニングが重要です。特に、肩周囲の筋肉をバランスよく強化することで、腱板への過度な負担を軽減できます。また、作業やスポーツ中の正しいフォームの習得も大切です。不適切な動きは肩周囲の筋肉に余計なストレスをかけてしまいます。
日常生活では、急激な動きや過度の負荷を避け、ゆっくりとした動作を行うことが重要です。特に、長期間の不活動後に急に激しい運動を始めることは、肩に負担がかかるため少しずつ動かすようにしましょう。
加えて、全身の健康管理も肩腱板断裂の予防に影響します。喫煙者は禁煙を、糖尿病患者は適切な血糖コントロールを心がけることが腱の変性を抑制するために重要です。また、定期的に健康診断を受けたり、軽い肩の症状でも早めに医療機関を受診したりすることで、早期発見・早期治療につながり、重症化を防ぐことができます。
関連する病気
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石灰沈着性腱板炎
五十肩上腕二頭筋長頭腱炎
参考文献
腱板断裂の治療とリハビリテーション
腱板断裂患者における喫煙状況と肺機能
日本整形外科学会肩腱板断裂

