揺れる思いと決断
健太との通話を終えるとすぐに、私は父に電話した。
「もしもし、お父さん。健太の結婚式の件、聞いたんだけど」
「あぁ、美雪にも相談してたのか……。ごめんな、父さんと母さんは今はもう年金暮らしだし、最近腰を手術したばかりだから、そう簡単に出せる金額じゃないんだよ」
今回のことも父が悪いわけではないのだけれど、言葉の端々に父の自責の念を感じる。私はこれ以上、お金について父に相談することはできなかった。
「そっか、大丈夫。今回は、私と夫でとりあえず立て替えるよ」
なるべく心配をかけないよう、明るく振る舞って電話を切った。その夜、夫にもお願いをして私たち夫婦で60万を立て替えることとなった。さっそく健太に連絡すると、心から安堵した様子だった。
「本当に?めちゃくちゃ助かるよ、ありがとう!」
「夫婦で貸すから、ご祝儀入ったら必ずすぐに返してね」
「ありがとう!絶対返すよ」
弟の安堵の声に、私も一安心した。これで一件落着だと、そう思っていた―――。
あとがき:家族だから、信じたかった
弟の晴れ舞台のためなら……。そう思って用意した60万円。大切な家族だから助けたいという思いが背中を押したのは間違いないでしょう。でも、心のどこかで、小さな不安が引っかかっていたのではないでしょうか。
「ご祝儀で返す」という言葉は、どこか頼りなく、現実的ではない気がしつつも、信じたい気持ちが先行していたことを感じるシーンです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

