秋は虫が少なく、日中は過ごしやすい気温で、紅葉や澄んだ星空を堪能できるキャンプのベストシーズンです。しかし、秋キャンプには夏とは違う注意点があります。特に初めて秋キャンプを安心して楽しめるよう、「寒さ」と「乾燥」の対策を中心に解説していきます。
【最重要】寒さ対策:夜の冷え込みへの備え

秋キャンプで最も気をつけたいのが、夜間の急激な冷え込みです。日中が快適でも、夜間は場所によっては一桁台まで下がることも珍しくありません。初心者の方は特に「想像以上に冷える」と心構えをしておきましょう。
睡眠時の徹底的な防寒

眠っている間に体温が下がると体調を崩しやすくなるため、シュラフとマットの準備を徹底しましょう。お持ちのシュラフの「快適温度」を必ず確認し、夏用のシュラフしかない場合は、インナーシュラフ(フリースなど)を買い足すか、予備のブランケットを中に入れて「W使い(2枚重ね)」をするなど、保温力をアップさせる工夫が必要です。
また、寒さは地面から来るのが大半です。冷気をシャットアウトするために、マットの上に寝袋を敷くだけでなく、コットを使うか、断熱性の高いマットや銀マットを必ず敷きましょう。
衣服による「重ね着(レイヤリング)」

日中の気温に合わせて細かく調整できるよう、脱ぎ着しやすいように準備します。「重ね着(レイヤリング)」の基本は、内側からインナーで汗冷えを防ぎ、ミドル(フリースやダウンなど)で保温し、最も外側にアウター(防風・防水)を着て冷たい風を防ぐという3層構造です。この構造を意識することで、気温の変化に柔軟に対応できます。特に冷えやすい末端(手、足、頭)の防寒は重要で、厚手の靴下やニット帽は、就寝時にも役立つので忘れずに持っていきましょう。
乾燥対策と火の取り扱い

秋は空気が澄んで気持ち良い反面、乾燥しやすい季節でもあります。乾燥は体調と火の安全に影響しますので注意が必要です。
テント内の加湿と火の粉への警戒

乾燥による喉や肌の不調を防ぐために、テント内に濡れタオルを吊るすだけでも加湿効果があります。小型の電池式加湿器を持っていくのも良いでしょう。また、寒くても夏と同様にこまめな水分補給を心がけてください。
そして何より重要なのが、火器のテント内や車内への持ち込みは厳禁ということです。焚き火はもちろん、カセットコンロやバーナーなどの火器を換気が不十分な場所で使用することは、一酸化炭素中毒という命にかかわる事故に直結します。
就寝前や撤収前には、焚き火や炭が完全に消火しているかを入念に確認し、指定された炭捨て場へ処理しましょう。

