高齢になると、複数の疾患を抱えることが増え、診療科を受診するたびに薬の数が増えていくことがあります。たくさんの薬を飲めば、それだけ体に良いのでしょうか? そこで、多剤服用(ポリファーマシー)のリスクについて、「あゆみ野クリニック」の岩崎先生に解説してもらいました。

監修医師:
岩崎 鋼(医療法人仙豆会いこいクリニック)
医療法人仙豆会いこいクリニック理事長。体調に合わせた保険診療内での煎じ薬治療を実践。元東北大学附属病院漢方内科臨床教授。元日本東洋医学会東北地区専門医制度委員長。元日本老年医学会評議員。東北大学医学部出身、老年内科で医学博士取得。その後漢方内科に移籍。
編集部
副作用のリスクが上がるのは怖いですね。
岩崎先生
ほかにも、例えば実際に副作用などで体調不良となった時、たくさんの薬を飲んでいるとどの薬が影響しているのか特定しにくいといったリスクもあります。さらに、体調不良が薬の副作用からきていることにも気づかれず、「薬の副作用に対して新たな薬を出す」という状態にもなりかねないと日本老年医学会は警鐘を鳴らしています。
編集部
薬がまた増えてしまうのですね。
岩崎先生
そもそも、たくさんの薬を飲んでいるケースは、複数の医師がバラバラに処方していることが多いため、ほかにどの薬を飲んでいるのか「おくすり手帳」などを見なければ、それぞれの医師が把握できないことも多いのです。さらにこの「お薬手帳」は、院外処方された薬のみの記録であるため、院内処方された薬については記載されていません。
編集部
確かに、それぞれの医師が全ての治療薬を把握するのは難しいかもしれません。
岩崎先生
そういった場合、たとえそれぞれの医師が「これは薬が多すぎるかも」と思ったとしても、例えば胃腸科と内科と整形外科と泌尿器科の主治医がみんな集まって相談して薬を整理するというのは現実的に不可能です。
編集部
別々の医療機関ですからね。
岩崎先生
そうなると「薬の種類を減らしたほうが良いかも」と思いながらも、それぞれが「自分の処方した薬は切れない」という状態が漫然と続くことになってしまいます。だからといって「ほかの診療科で処方されている薬を勝手に切るのも……」と考えてしまう医師がほとんどなので、多剤服用の悪循環となりやすいのです。
※この記事はメディカルドックにて<高齢者にとって「多剤服用」が危険な理由 掛かる病院が増えると薬も増える悪循環>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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