話し合いで分かったこと
夫は私に気づき、「ごめん、起こしちゃった?」と申し訳なさそうに言いました。聞けば、3ヶ月前から会社の昇進試験に向けて勉強を続けていたとのこと。
仕事を終えて、家事や子どもたちのお世話も終わった深夜、睡眠時間を削って勉強時間を捻出していたのです。「土日の朝、起きられなかったのはそのせい?」と尋ねると、夫は「うん。言えば心配かけると思って」と力なく笑いました。
その日から、私と夫の関係性は大きく変わりました。私は夫を責めるのをやめ、夜の家事や子どもの寝かしつけを少し早めに切り上げるようにしました。夫が机に向かう横で、温かいコーヒーを淹れるのが私の新しいルーティンになったのです。「頑張ってね」と声をかけると、夫は一瞬だけ優しい笑顔を見せて、また資料に目を戻しました。
言葉にすることで和らいだ心
試験前日の夜、夫は少し緊張した面持ちで、私に感謝の気持ちを伝えてくれました。「協力ありがとう。最初から言えばよかったのに、勝手に隠していてごめんね。明日が終わったら、久しぶりにみんなでゆっくり朝ごはんを一緒に食べよう」
その言葉は、私にとって何よりも嬉しい一言でした。努力の裏側を知らずに勝手に責めていた自分の視野の狭さが、とても恥ずかしく思えました。
夫の背景にある見えない頑張りを知ったことで、募っていたイライラが感謝に変わるのだと気づきました。私たち家族の朝は、夫の努力と、それを受け入れた私の理解によって、以前よりずっと穏やかなものになったのです。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

