子どもの姿勢が悪くて気になるママへ。何歳から体幹を意識する?専門家が大切にする姿勢作りのポイントお教えします

子どもの姿勢が悪くて気になるママへ。何歳から体幹を意識する?専門家が大切にする姿勢作りのポイントお教えします

子どもの姿勢が悪くて注意しても直らない。スマホなどを見ているとどんどん背中が曲がっていくのが心配。そんな悩みについて、プロアスリートや運動指導者への指導などを行っている、日本コアコンディショニング協会副会長の石塚利光さんからお話をお伺いしました。

子どもの姿勢が悪くて気になる

「最近なんだか子どもの姿勢が悪い気がする・・・」「ゲームやタブレットに夢中になると背中が丸くなって、いわゆる『スマホ首(ストレートネック)』みたいになっていて心配・・・」そんなふうに、日々子どもを見守っているママであれば、一度は気になったことがあるのではないでしょうか。しかし『気になる=すぐになおさなきゃ!』と焦る必要はなく、特に小さな子どもは大人のように筋肉を鍛えることより、まず身体の使い方が自然に上手になっていくことが大切です。そして身体が歪まない状態=「整う」で身体が動かせるようになることが何より優先すべきポイントです。

子どもたちの姿勢が崩れて見えてしまう原因としてよくあるのが、『座っている時の姿勢』かと思います。
本来は椅子に座る際、股関節が動いて(太ももの付け根のところで身体が折りたたまれるように)骨盤(お尻の中にある大きな土台の骨)の座骨がしっかりと椅子の座面にあたることで、背中や首の位置が自然に整っていくのですが、股関節がうまく動かないとどうしても猫背のように背中や腰が曲がった状態で座ってしまいます。
なので、背中だけをピンッと伸ばそうとしても、背中の筋肉が頑張るだけで骨盤は倒れたまま、結果として背中の丸まりは改善されず、本人は苦しい、姿勢は崩れる、という悪循環に陥ってしまうのです。

子どもの姿勢チェック法

ママやパパがすぐにできるチェック方法があります。
椅子に座ったお子さんの『お尻と椅子の間』に手を差し込んでみてください、その時、手にコツンと当たる『やや尖った骨』が左右に触れれば、それが「座骨」と呼ばれる骨盤の下部です。本来その座骨がしっかりと椅子に刺さるように乗っていることが、理想的な座り姿勢の基本となります。この座骨で座ることができれば、背骨がスッと伸びて肩や首も力みにくく、長い時間座っても疲れにくい姿勢となるため、「背すじ伸ばして!」と繰り返し注意するより、先に「お尻の骨が椅子にあたっているかな?」と声かけしてあげるだけでも良いと思います。
では、なぜ子どもの姿勢が崩れ、骨盤が倒れてしまうのでしょうか。

それは原因の多くが大人と同じ、『座りすぎ』にあるからなのです。座りっぱなしの生活習慣は股関節を取り巻く筋肉や靭帯を固めてしまい、本来の身体の動きが出にくくなります。子どもであっても短期間で姿勢不良は進んでしまうため、座っている時間が長い現代の子どもたちの姿勢が気になるのは、とても自然なことなのです。

だからこそ、ご家庭ですぐにできる一番簡単な姿勢改善策は、当たり前のことなのですが「立つこと」「歩くこと」「大きく身体を動かして遊ぶこと」であり、特に外遊びで全身をのびのびと使う機会は、筋肉や関節の柔らかさを保ち、体幹の使い方も自然に育てていくための大切な時間です。
ただ、同時に『座った時のコツ=座骨を椅子に当てる座り方』を覚えることは、日常の中で姿勢が崩れにくくなるため、ぜひ一緒に伝えてあげてくださいね。

そしてゲームやタブレットの時間についても、ついつい首が前に出てしまいがちでストレートネックの原因にもなるため、「ゲームはダメ!」と完全に取り上げるのではなく、「ゲームをするなら身体もいっぱい動かそうね」とバランスをとってあげることが、子どもにとって健全な習慣として長続きしやすいのです。

その遊びのなかでお勧めなのが『うんてい』です。
うんていは、両腕を挙げた状態でぶら下がりながら前進を使い、体重移動し、タイミングを合わせながら前に進むという、実はものすごく複雑でダイナミックな運動です。肩甲骨や背骨、骨盤といった全身が連動しなければ出来ない遊びなので、ただの遊具と思われがちですが、姿勢改善・体幹づくりには非常に効果的な運動なのです。ぜひ公園で見つけたら「うんていしてみよう!」と声をかけてみてくださいね。

何歳から体幹を意識すればいいの?

難しい問いですが、実は発育発達の観点からいえば、生まれた瞬間から人間は体幹を使う準備を始めていると考えられます。

赤ちゃんは「泣く」「手足をバタバタさせる」「寝返りをうつ」「はいはいをする」「つかまり立ちをする」など、成長のステップを自然に踏みながら、遺伝子に組み込まれたプログラム通りに体幹の働きを学び、その結果、大きな筋肉が未発達にも関わらず、手足と体幹を連動させ立ち上がり、歩きはじめることができるのです。本来人間は体幹を『鍛える』のではなく、生まれながらに『使えるようになる力を持っている』ということなのです。

体幹といっても、広い意味では胸郭(肩甲骨や肋骨まわり)、脊柱、腹部周辺、骨盤およびその周辺を含めた広範囲のことであり、より専門的になりますが狭義でいえば、横隔膜(肺の下)、多裂筋(背骨を支える筋肉)、腹横筋(腹部深層・コルセット状)、骨盤底筋群(骨盤最低部・ハンモック状)という4つの筋が重要です。これらが協調して働くことで、大きな筋肉の力みに頼らず姿勢が整い、スムーズに身体が動くというベースができあがっていきます。

とはいえ、環境の影響はとても大きく、座りっぱなしや偏った動きが続くことで、本来学ぶはずの動きが抜けてしまうことが実際に起こります、3歳前後でもすでに姿勢が崩れてしまっているケースを見ることがありましたが、その場合は身体の使い方を改めて学び直す『再学習』が必要になるのです。

ゴールデンエイジに多様な動きをしてみましょう

子どもの身体の発達において、とても重要な時期が「ゴールデンエイジ」と呼ばれる5〜10歳頃です。この期間は神経系が急速に発達し、多様な動きを経験することで運動能力が大きく伸びていくため、特定のスポーツばかりに偏らず、たくさんの遊びと経験を通して『上手な身体の使い方』を獲得していくことが、とても大切なのです。

まとめると「体幹は人生の最初から育ちはじめ、日常の動きの中で自然に発達していくもの」「だからこそ、子どもが元気に動き回ることが、最高の体幹トレーニング」ということ、そして「もし気になることがあるなら、座り方や動く量を少し変えるだけで身体はぐんぐん良くなる」ということを覚えておいてください。
そして、もし分からないことや、正しい子どもの姿勢判断や取り入れたほうが良い運動を知りたい場合は医師や専門家に聞いてみてください。

家族ができる最高のサポートは「動ける環境」をつくること

姿勢や体幹の悩みは、子どもも両親も頑張りすぎなくて大丈夫、気付いた今から少しずつ変えていけば、身体は必ず応えてくれます。

●座骨が椅子に当たる座り方を一緒に探す
●外遊びや公園でのチャレンジを増やす
●「できた!」をいっぱい褒める

たったこれだけでも、子どもは姿勢が変わり、自信が芽生え、身体を使うことが大好きになります。
子どもの元気な未来は、今日の遊びからつくられます。
あなたの「一緒にやってみよう!」の言葉が良い姿勢づくりの第一歩、体幹ケアの第一歩となります。ぜひチャレンジしてみてください。

※記事作成にあたり、適宜生成AIを使用しています。

体幹ケア

執筆者

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石塚利光

石塚利光

日本コアコンディショニング協会 副会長
ペンシルベニア州立カルフォルニア大学大学院 修士号
元 福岡大学教員

全米アスレティックトレーナーズ協会 公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)
豊富な知識と経験から、プロアスリートや学校、運動指導者への指導などを行っています。副会長を務める日本コアコンディショニング協会では、LPN社製のストレッチポール(R)の使用方法を研究開発し公式ガイドブックに掲載。同社より販売されているアシスティック(R)は共同開発者として活動し、現在では日本代表選手をはじめ、多くのアスリートが活用しています。

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配信元: ママ広場

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