3.適切な言葉をかける
傾聴を続けるなかで、相手の態度にゆとりが生まれてくると、今度は、言葉をかけるタイミングが出てきます。
ここで重要になるのは、どんな言葉をかけるべきか、という問題です。
ある程度感情が落ち着いたとは言え、飼い主さんの悲しみはまだまだ癒えていません。選ぶ言葉は、相手の立場に寄り添っていることが大前提です。
受け止める人によって個人差はありますが、一般的には次のような声掛けがふさわしいとされています。
「あなただから楽しく長生きできたんだよ」
「あなたを選んであの子も幸せだったはずだよ」
「素敵な思い出をいっぱい作ってくれて、すごい子だったね」
「泣けるだけ泣いていいよ。ずっとそばにいるから」
反対に、相手の立場を考えずに自分の物差しで語る言葉は、たとえ善意であれ、心のかさぶたをひき剥がしてしまうだけです。
一例としては、冒頭でも述べた「前向きに生きなきゃ!」をはじめ、「いい加減に元気出せよ」、「あなた好みの子猫がペットショップにいたよ」、「たかが猫のことで落ち込んでどうするんだ」、「違う病院を選んだほうが良かったんじゃない?」などが挙げられます。
ペットロスで落ち込んでいる人にとっては、「残念だったね」という何気ない悔やみの言葉にすら、決して他人と共有できない己の悲しみの深さを思い知らされ、二重に傷ついてしまいます。
ただそばに寄り添い、相手の話に耳を傾け、必要なタイミングで適切な言葉をかける―できるようでなかなかできない、そんなシンプルな対応こそが、家族同然の愛猫を失った人のささやかな後押しになります。
まとめ
今回は、ペットロスで苦しむ飼い主さんに対して、まわりの人たちはどんなふうに対応すれば良いのか、3つの方法を紹介しました。
「いっしょにいてあげる」、「聞き上手になる」、「相手の気持ちに寄り添った言葉をかける」、この3つは、悲しみの底から立ち上がるために欠かせない、非常に重要なプロセスです。
愛猫を失うと、あまりの悲しみに簡単には立ち直れません。再び日常を取り戻す過程で大事なのは、そばにいる人たちのさりげないサポートです。
もしみなさんの身近に、ペットロスで日常生活もままならなくなった飼い主さんがいたら、まずは、ただ寄り添うことから始めてみてください。

