野良猫が生きる世界は過酷。誰にも気づかれず、ひっそりと命を落とす子も少なくありません。そんな危機から救われ、家猫ライフを満喫しているのは、むぎと人間さん(@mugitokoromo)宅に迎え入れられた、むぎくん。
むぎくんは、飼い主さんのお父さんによって命を救われました。田んぼ脇の用水路で「生きたい」と叫んでいた子猫を保護
2023年6月9日の夜、仕事から帰宅した飼い主さんのお父さんは、子猫の鳴き声を耳にしました。声を辿り、街灯がない田舎道を懐中電灯で照らしながら歩くと、自宅から100mほど離れた田んぼ脇の用水路に子猫が……。1日中、降り続いた雨によって用水路には大量の水が流れていました。
子猫は小さな手で近くの草に一生懸命しがみつき、鳴き叫びながら足をバタバタ。流されまいと耐えながら、助けを求めていました。その様子を見たお父さんは、子猫を保護。しかし、自宅には臆病な性格の先住猫が2匹いたため、娘である飼い主さんに相談しました。
当時、飼い主さんは結婚し、ペット可の物件に引っ越したばかり。新婚旅行後に猫を迎えようと思っていましたが、思わぬ出会いを知らされ、新婚旅行をキャンセル。猫用グッズを買いそろえ、お父さんが保護した子猫を迎え入れました。食欲旺盛な愛猫に翻弄させられた“幸せな育猫期”
子猫の名前は、「むぎ」に決定。お迎え当日、お腹の上に乗せると、むぎくんはそのままスヤスヤ。その温もりを感じた飼い主さんは、3年ほど前に亡くした実家猫を思い出し、泣けてしまいました。
ぶっちーちゃんは保護した時に白血病キャリアと判明。白血病が発症して始まった介護生活の中では心身が疲弊し、飼い主さんは「逃げ出したい」と「生きてほしい」の狭間で苦しんだこともありました。「だからこそ、むぎは絶対に幸せにしようと誓いました。葛藤や悲しみは避けられないかもしれないけれど、今度はしっかりと命に向き合い、最期まで幸せに生きられるように力を尽くしたいなって」
お迎え当初、励んだのは結膜炎の治療と寄生虫の駆除。新しい環境に来た不安からか、むぎくんは2週間ほど夜鳴き。飼い主さんは、2時間ほどの睡眠で出勤する日々を送りました。一緒に暮らす中で驚いたのは、むぎくんの食欲です。ご飯はいつも、きれいに完食。生後2ヶ月の頃には、食卓に並べたおかずを強奪しようとしたことも。
「だから、食事中は隣の部屋にいてもらい、扉を閉めました。でも、むぎは部屋の引き戸を開けてリビングに入ってきて……(笑)生後8ヶ月の頃には、料理中に近づいてきて危ないので鍵付きのケージに入ってもらっていましたが、ケージの扉の下に手を入れて扉を持ち上げ、留め具を外して脱出したこともありました」
