平和を取り戻したかに見えた萌子だったが、武内は共通の友人・美香を介して仲直りを求め、執着を見せます。そして、誰かから萌子の職場を聞き出した武内は、退勤時間に合わせて職場のビル付近に出没し始めて…。
共通の友人の話にゾッとする
英会話教室を辞め、武内をブロックしてから、数週間が経った。ようやく安堵感が戻り、圭吾と過ごす週末の時間が以前にも増して穏やかに感じられた。しかし、その平和は長く続かなかった。
ある日、共通の知り合いである友人の美香から連絡がきた。「気になることがあって…」というので会ってみると、なんと武内くんのことだったのだ。
「武内くんがさ、萌子に話を取り次いでほしいって、しつこいんだよね…」
美香の口から出た名前に、私の背筋が凍った。
「し、しつこいって?」
「萌子ちゃんと仲直りしたいから、間に入ってくれないかって。何回も何回も連絡してくるの」
美香はうんざりした表情で、私にスマホの画面を見せた。武内と美香のLINEのやりとりだ。
一方的なメッセージ
武内:「萌子ちゃんにさ、俺が悪かったって伝えてくれる?」
美香:「あんまりしつこいと迷惑だと思うよ」
武内:「わかってるんだけど…」
そのやり取りは、美香が最後に無視するまで、1、2週間に1度のペースで繰り返されていた。
美香「しつこいっていうか、ストーカーの一歩手前だよ、萌子が心配で…」
萌子「……鳥肌が立ったよ…」
完全に拒絶された人間に、ここまで執着する心理が理解できない。ただただ、その歪んだ情念の吐き出し先に私がいるという事実が恐ろしかった。
そして、事態は最悪の方向に進んだ。共通の知り合いが多いという厄介な環境が、私を追い詰めた。誰かが、何気ない会話の中で私の職場の名前を漏らしたようなのだ―――。

