骨肉腫とはどのような病気なのでしょうか?名前は聞いたことがあっても詳しい症状・病態・治療方法などは知らない人が多いでしょう。
骨のがんの中では最も多い病気で、中学生・高校生くらいの年齢で発症することがよくあるのですが、年を重ねてから発症する方もいます。
骨肉腫は初期症状が分かりにくく、発見が遅れてしまうこともある病気ですが、早期発見・早期治療が予後にも大きく関わってくるので初期段階で病気を見つけることが重要です。
このためこの記事では骨肉腫の治療法と早期発見のポイントについても解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「骨肉腫の初期症状」はご存知ですか?進行した場合の症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
骨肉腫の治療について
骨肉腫の治療の中心である標準治療は、外科治療・薬物治療・放射線療法です。標準治療では改善しない場合、光免疫療法などの治療が行われています。現在行われている5つの治療について解説します。骨肉腫になったらどんな治療をするのか気になっている人は参考にしてみてください。
光免疫療法
光免疫療法とは、次のような流れで行われます。
光に反応する抗体である薬剤(光免疫療法薬)を点滴で投与
1日程度かけて、薬が抗原であるがん細胞に集まる
十分に薬が集まったら、そこにレーザー光を当てる
薬剤が反応し、がん細胞は破裂し死滅する
光免疫療法を行う際に投与する薬剤は、正常細胞にはくっつかないので、正常細胞に被害はありません。
また、レーザー光も人体に悪影響はないので全身性の副作用が出ることなく治療を行えます。光免疫療法はがん細胞を死滅させるとともに、患者さん自身の免疫を活性化することでもがん細胞を攻撃するのです。
外科治療
骨肉腫の標準治療は、手術による広汎切除と術前・術後の薬物治療です。手術をする場合にはがん細胞を体内に残さないように、正常な細胞も含めて切除するため骨肉腫の周りにある骨や筋肉も一緒に切り取る必要があります。
患肢温存手術といってできるだけ手足を温存する手術方法を取りますが、部位や大きさによっては残すことが困難な場合もあり、その場合は切断して義足などを使うこともあります。
延長することが可能な腫瘍用人工関節があること、さまざまな骨延長術があることから、骨の成長前で手足を残すことが難しい10歳以下の子どもでも手足を残す方法を試みることがあります。患肢温存手術を行った後、骨の再建術をする必要がありますが、大きく分けて以下の3つの方法があります。
人工関節を入れる
一旦取り出し、がん細胞を殺す処置をした骨を元の位置に移植する
自分の骨を別の位置から取ってきて移植する
薬物治療
骨肉腫では、再発することを防ぎ、病気が治る確率を上げるために手術の前後に薬物治療を行います。一般的なスケジュールは、以下の通りです。
手術の前に2~3ヶ月薬物治療を行う
外科手術で骨肉腫の切除を行い、必要に応じて骨再建を行う
再発を防止するためにさらに数ヶ月薬物治療を行う
この流れで治療を行うため、骨肉腫の治療には半年から1年程度はかかります。
使われる薬は、メトトレキサート・シスプラチン・アドリアマイシンの3剤が基本となり、必要に応じてイホスファミドを追加します。術後にイホスファミドを使用することで、予後が改善するという可能性があることが報告されているためです。
放射線療法
骨肉腫では、放射線療法の効果が低いためあまり放射線が用いられることはありません。
しかし、腫瘍の大きさや場所によってそのままでは切除が難しい場合には手術前後に補助的な位置づけで治療に使用することがあります。
緩和ケア
緩和ケアは、骨肉腫に特有のものではありませんが、がんによって生じる心身の辛さや疲れを和らげてくれるものです。
体の不調や治療の不安以外にも、将来への不安や社会的な生きにくさなどさまざまな辛さがあります。緩和ケアはがんと診断されたときからがん治療と合わせていつでも受けることができるものです。
骨肉腫を早期に発見するためには?
骨肉腫は発症初期の遠隔転移前に発見し、治療を開始できた場合の予後が飛躍的に改善しています。
このためできるだけ早期に発見して治療を開始できることが望ましいです。早期で出る特徴的な症状は少ないのですが、以下のような症状があれば一度医療機関を受診してみるといいでしょう。
膝や太もも・肩の痛みが間歇的に半年以上続くとき
痛む場所が赤くなったり、熱を持ったりしているとき
腫れやしこりがあるとき
ぶつけたわけでもないのに痛みが続くとき

