東京湾のタチウオが新たな局面を迎えている。
これまで走水周辺にいた群れが北上、東京湾のど真ん中辺りで釣れているのだ。
ポイントの水深は20m前後なので浅場で手軽に数釣りを……と思いがちだが、アタリはあっても容易にハリ掛かりさせられないのがこの時期のタチウオ。
仕掛け、エサ付け、誘い、すべてがかみ合わないと釣果をのばすことは難しい。
逆に言えば、この難局を乗り越えられれば、群れが南下して再び活性の高まる冬本番は怖いものなし。
来るべき冬の陣に備えて今のうちにテクニックを磨いておこう。

▲一年のうちで最もムズ面白いシーズンだ
ハリを刺す方向とエサ付けワンポイント
エサのコノシロは黒い背側から刺すか、骨のある白い腹側から刺すか、悩む人は多いだろう。
この問題に対して忠彦丸の安田船長は、エサの切り方にもよるが、切り身を横から見て、血合の濃いほうへ刺したほうがエサ持ちがよいと教えてくれた。


夏場の荒食いが一段落し、釣果的には落ち着いてしまう秋口のタチウオ。
一昔前は出船を止めてしまう船も多く、いわゆる「夏タチ」と「冬タチ」の間のアイドリング期間だった。
しかしここ数年、湾奥の浅場で釣りが展開されるようになり、テクニカルな状況に悶絶しつつもハマる人が続出しているとか。
そもそも秋口のタチウオの生態はどういうものなのか。
今回お世話になった忠彦丸の安田剛船長によると、「夏場に走水沖近辺にいたタチウオがエサとなるベイトを追って広く散ってしまっている状況です。
昔からこの時期に湾奥で漁師がタチウオを獲っていたのは知っていて、試しに狙ってみたら釣りが成立。
それでここ数年は湾奥のタチウオを追いかけています」とのこと。
年によって違うそうなのでなんとも言えないが、だいたい10月中旬くらいから始まって、早いときは2週間、長い年でも1カ月ちょっとで終了してしまうので期間としてはとても短い。
では何をもって終了となるのか。
タチウオが徐々にベイトを追って南下し始め、湾奥から抜けたら終わってしまうという。
その群れを追いかける辺りから冬の陣が始まり、南下した群れが走水沖近辺に集結すると本格的な「冬タチ」本番となる。
ポイントもバラバラで、日によって変わってしまうことも珍しくないとか。
〇〇沖と具体的に言いにくいポイントも多く、おおむねアクアラインより北側で釣りが展開されるので一口に「湾奥」と総称しているらしい。
水深は15~20m前後が多いとのこと。
タチウオのサイズは日によってまちまちだが、いい日に当たると良型ばかりになることも。
水深20mを切る浅場で指幅5本サイズが釣れるとはなんとも魅力的である。

▲飲ませて掛けるなら逆テーパー仕掛け
湾奥浅場のタックル&仕掛け
竿は夏の浅場で使う物と同様で大丈夫だが、近年は硬めの番手が好まれている。
全長1.8m前後の専用竿やゲームロッド、テンヤタチウオの竿も流用可能だ。
道糸は各船によって指定号数が異なるので予約の際に確認してほしいが、おおむねPE1.5~3号くらいが使われる。
よってリールは小型両軸か超小型電動が適している。
オモリも道糸と同様に船によって異なるが、40~60号が標準となる。
忠彦丸ではPE2号以下は40号、PE3号以下は60号となっている(浅場以外はこの限りではない)。
仕掛けは片テンビンの1本バリ。
通常のハリス8号前後のストレート仕掛けと、逆テーパーの仕掛けを状況によって使い分けるのがおすすめ。
長さはタチウオの活性に合わせて2~3くらい。
逆テーパー仕掛けは、ナイロン12号前後を7cmほどハリに結び、その上にフロロカーボン4~5号を電車結びで接続する。
ナイロン部分が長過ぎると食いが悪くなるので注意したい。
ハリにナイロンだけ結んだ物を用意しておくと、ハリスが傷ついた際に交換が楽になる。
ハリのサイズは魚のサイズに合わせて選びがちだが、それは間違い。
「魚のサイズではなく、魚の活性に合わせて選んでください。活性が低ければ1/0、通常は2/0、高ければ3/0といった具合に選んでもらったほうが釣果に結び付きやすいです」と安田船長は力説していた。
また、逆テーパー仕掛けを使う際は軽いハリを使うことも重要になる。
重いハリでは誘いをかけた際に仕掛けがフワッとなる効果が薄くなってしまい、逆テーパー仕掛けのメリットを消してしまうことにもなる。
集魚パイプやビーズなどの装飾品は、効果を発揮することもあれば逆効果になってしまうこともある。
アタリが遠いなら外すことも忘れずに。
なおテンビンは腕長30 センチ前後、ストレートタイプでも弓型タイプでもどちらでもOKだ。


▲ツ抜けを目指して頑張りたい

