同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

原告8人は、現在の規定は憲法14条1項、24条1項・2項に違反すると主張していたが、判決はいずれも退けた。

同性訴訟は全国で展開しており、東京1次訴訟を含む5つの高裁では「違憲」と判断されている。今回、6つの控訴審の中で初めて結論が割れたかたちだ。

判決後、原告側弁護団は「きわめて不当な判決」と批判。これまでの控訴審はいずれも上告しており、最高裁が早ければ来年度中に判断を示す可能性がある。

●判決「ただちに違法とはいえない」

判決は「性自認・性的指向に沿う取り扱いは、人格的利益として極めて重要な法的利益」と前置きしたうえで、現状について、同性カップルも「家族の一形態」という認識が広まっているものの、法律婚・事実婚のカップルに比べ、同性カップルは多くの場面で不利益を受けていると指摘した。

また、2023年に成立したLGBTQ理解増進法に基づいた施策の実施も遅れているとして、国は基本計画も策定していないと批判した。

一方で、こうした現状が「ただちに国家賠償法上の違法とはあたらない」と指摘。国会では審議は進んでいないが、法律案の提出が複数回されており、こうした状況について「憲法に保障された権利が実現していない状況と同視はできない」とした。

さらに、同性カップルも事実婚として法的に保護されていることや、扶養義務や離婚による財産分与など、異性カップルの法律婚の法的効果の一部は、契約で代替する方法があることなどからも、憲法違反があるとまでは言えないと結論づけた。

ただし、「このままの状態が続けば、憲法違反の問題が生じる」として、国会内の審議を尽くすよう述べた。

●弁護団「これまでの高裁判断を無視した異例の判決」

この日の法廷は、同性婚の実現を願う当事者や支援者が詰めかけたが、「合憲」との言い渡しがあると、静まり返った。

傍聴席をあとにした原告や当事者の中には「信じられない判決」「あり得ない」として、涙を見せる人もいた。

判決直後、弁護団の上杉崇子弁護士は報道陣の取材に対して「極めて不当な判決」として、次のように強く批判した。

「明確な違憲判断を積み重ねたこれまでの5つの高裁判決をまったく無視しています。社会的な事実にも反し、論理的にも破綻した、極めて不当な判決と言わざるを得ません。

しかし、6つの高裁判決のうち、5つの高裁は明確な違憲判決を出しており、今回の東京高裁の判決は異例です。私たちの歩みは止まりませんし、最高裁で明確な違憲判決を得られるよう、これまで通り歩んでいきたいと思っています」

また、原告の一人である藤井美由紀さんも「私たちは、国民として享受できる幸せももらえないんだなと、本当に悲しい判決だと思います。でも、今まで他の高裁で違憲判決をいただいていますので、それを胸に最高裁に行って、全国のみなさんとともに、結婚できる世の中を目指したいと思います」と語った。

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