ともみさんへの疑惑を夫へ相談したゆり。そんなゆりのために、夫はなんと証拠を押さえるためにあるものを用意します。
親身に聞いてくれる夫、けれど現行犯ではないから…
夫は私のただならぬ様子を察してかすんなり起きてくれて、私は震える声で、今日起きたことをすべて話しました。
「実はね、今大変なことになっているかもしれなくて」
夫は静かに息をのんでいます。
「生活費の封筒から、1万円なくなっているの。で…もしかしたら、盗ったのはともみさんかもしれなくて」
「えっ?」
私が一瞬だけ家を留守にしたこと、そしてともみさんの不審な行動…それらも含めて話しました。夫も、まさかという表情で、すぐに私と一緒に棚を確認してくれました。一緒に封筒の中身を確かめましたが、やはり1万円札が1枚、消えていました。
「ウソだろ…ともみさんに限って」
夫は、私がともみさんに絶大な信頼を置いていることを知っています。そもそも私だって、ともみさんを信頼しているからこそ、家にともみさんだけ残して家を出たのです。ともみさんでなければ、他人を置いて家を出るなんてこと到底できません。
まだ疑惑でしかありませんが、頭がクラクラする気分でした。
「証拠はないんだけど、あの短時間でわざわざ棚の前にいて、何か隠したのは明らかだったから…」
「そうはいっても、映像があるわけじゃないもんな。現行犯じゃないと突き止めるのは難しいよ」
夫の言葉に、私は深い絶望を感じました。長年の親友を疑うという行為自体、私の心を酷く傷つけましたが、このまま黙っているわけにもいきません。1万円という金額以上に、私の「信頼」が踏みにじられたという事実が耐えられませんでした。
こうなったら、徹底的に探る
しかし、そのとき、私の頭の中に、1つの考えがひらめきました。
「もし一度やってバレてないと思わせたら、もう一度やるかもしれないよね」
金銭的な苦境に立たされているであろうともみさんは、一度成功体験を得たなら、必ず、また同じことを繰り返すに違いない。そう、直感的に悟ったのです。私たちは顔を見合わせました。夫も、私の考えを理解したようでした。
「よし、証拠を押さえよう。もし本当にそうなら、けじめをつけてもらわないと」
夫の言葉に、私は力強く頷きました。
私たちは、すぐに計画を立てました。そして、翌日、夫が仕事のついでに、手のひらに乗るほどの小さな監視カメラを購入してきてくれました。監視カメラを購入してから数日後。
ともみさんは、いつものように幼稚園のお迎えのついでに、私と井戸端会議をしました。ともみさんの様子は、あの日のことを微塵も感じさせない、いつも通りの穏やかな笑顔でした。その姿に、私は胸の奥がチクチクと痛むのを感じていました。
私は、計画の一環として、さりげなく、お金に関する話題を会話に織り交ぜてみました。

