北山雅和 個展「TYPOGRAFFiTi 4-5」
“言葉”を、物質として立ち上げる——《TYPOGRAFFITI》10周年
本展が展開するのは、北山雅和が2015年から継続して制作してきた立体シリーズ《TYPOGRAFFITI(タイポグラフィティ)》。
「タイポグラフィ(文字デザイン)」と「グラフィティ(落書き)」を掛け合わせた造語で、言葉そのものを“彫刻的に可視化”する試みだ。
アルミ板を用い、切り出し、曲げ、繋ぎ合わせることで組み上げられた文字たちは、もはや情報伝達の記号ではなく、感情や思想を宿す“物体”として空間に存在する。
今年で10周年という節目を迎え、「TYPOGRAFFiTi 4-5」では、これまでの集大成とも言えるシリーズの進化が目撃できる。
代表作《NO WAR》が、いま改めて突きつけるもの
展示の核となるのは、代表作《NO WAR》。
2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻、そしてガザで激化する紛争——
いまなお続く戦争と虐殺に対し、北山は「NO WAR」という言葉を、単なるスローガンではなく重さをもった“実体”としてこの世界に叩きつける。
アルミニウムの質量、光の反射、影の落ち方。
それらすべてが相まって、「NO WAR」という言葉は“読むもの”から“感じるもの”へと変わる。
この作品の前に立つことは、鑑賞ではなく、対話に近い体験になるだろう。
