●「差別の歴史や実態に理解がない判決」
また、上杉崇子弁護士も、次のように指摘した。
「同性カップルが子育てをすることに対する偏見がすごくにじみ出ているようにも感じました。 また、子どものいない異性夫婦についても、本当に軽視しています。 まるで典型的ではないというようなメッセージまで含まれているような差別的な判決文だと思います。
もう一つ、特徴的だなと感じたのは、同性カップルからなる家族というのが、新たに社会的承認を受けたものであるとされており、その法制度を創設するのは、いろいろ議論が必要だと述べています。
しかし、もう昔から同性カップルは存在していますし、社会的承認を受けてこられなかったのは、我々の社会が異性愛や異性カップルだけが自然で正常で、それ以外は異常だという差別的な認識が長い間、世界中で共有されていたためです。
そのような差別の長い歴史があったから、社会的承認を受けられないし、婚姻制度がないから社会的承認はさらに受けられない。ところが、判決文は、社会的承認がないことをまるで同性カップル、同性愛者の責任のように言っています。
性的マイノリティが置かれていた過酷な差別の歴史や差別の実態に対する理解が欠けている、未熟で特異な判決だと思います」
●最高裁に判断を委ねる
同性婚訴訟は全国で展開しており、東京1次訴訟を含む5つの高裁では「違憲」と判断されている。今回、6つの控訴審の中で初めて結論が割れたかたちだ。
原告側は今後上告し、最高裁に判断を委ねる。

