
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『有吉の深掘り大調査』(テレ東)をチョイス。
■宝探しの思い出『有吉の深掘り大調査』
今年2025年に『有吉木曜バラエティ』からタイトルが変更された、有吉弘行・粗品によるバラエティ番組『有吉の深掘り大調査』。11月27日(木)の放送回は2時間スペシャルで、“お宝ハント”と”厨房ドキュメント”のコーナーから、今回は“お宝ハント”について触れさせていただく。(TVerでは分けて配信されてます)
創業93年の老舗玩具店と、創業270年の老舗酒造店へお邪魔し、プレミア品が眠っていないかを調査する今回のお宝ハント、当事者たちも何が保管されているかをもはや把握できておらず、まさに宝探しである。それを見守るゲストは藤本美貴、つるの剛士、乃木坂46・池田瑛紗。はたして、どんなお宝が眠っているのだろうか?
これは面白い企画であった。私、こういうの大好きなんだなあ。特に創業93年の老舗「おびつ玩具店」は、無造作に箱が積み上げられた狭い空間で、まさに「発掘」という言葉がピッタリのお店。こういうお店って確かにある。雪崩が起きないよう、ジェンガのように「開けられる箱」を選択していく作業。開けられなかった箱の中に、何も入っていないことを祈って次へ行く。私は映画が好きで、VHSを取り扱っているお店を回ったりしていたから、この楽しさがよく分かる。まあ、いつだって大したものは見つからず、すでに売れているか、目玉が飛び出るような値がつけられている(「お宝」なのだから当たり前である)ことがほとんどなのだけど、この「おびつ玩具店」の商品はすべて発売当時の定価で売られているらしく、マニアにはたまらない場所だろう。
創業270年の老舗酒造店「酒ぬのや本金酒造」での宝探しも見どころ満載。日本刀が何本も出てきたりして、深い歴史を感じさせる。“蔵”というのもテンションが上がるね。散逸した小津のフィルムとか出てこないかと期待するも、さすがにそれはなく。2メートル超の掛け軸が出てくるのだけど、巻かれたそれをゆっくり広げていくところをほとんどノーカットでじっくりと写していて、真摯な撮り方だと思った。番組全体のリズムとは明らかに異質な時間が流れ、思わず息をのむ瞬間である。
さて、最後に私の宝探しの思い出を。数年前、ジモティーに「閉店するビデオショップの在庫を引き取ってほしい」という依頼を見つけ、車で栃木県まで向かったことがあった。現地に着くと、個人宅のガレージにゴミ袋に詰められたVHSテープの山が。ウヒョーと軍手をつけて飛びつくと、早速『ブレインデッド』のVHSを発見。DVDにはプレミアがついており、90年代スプラッターのアンセムながら現在でも入手困難な作品が、ゴミ袋に入れられガレージで眠っている……!他にも、ずっと見たかった『ブレインスキャン』や、ネットで検索してもほとんど情報のないような謎の作品、さらにはラベルの貼られていないテープなど、垂涎もののお宝ばかりで、楽しかったなあ。「すでに7割くらいは捨てちまいました」という依頼者の言葉にガックリしたのも含めて、一生の思い出である。ちなみにラベルの貼られていないテープの中身はテニスの王子様でした。
■文/城戸

