発表会やテスト前にお腹が痛くなる我が子。何か助けになれることや、回避する方法ってある?今回は四谷内科・内視鏡クリニック院長の高木謙太郎先生にお話しを伺いました。

大事なイベントの前にお腹が痛くなるのって、症例があるの?
受験や発表会の直前になると、「お腹が痛い」と訴える子どもがいます。親としては「本当に痛いの?」「病院に行くべき?」と迷うこともあるでしょう。
こうした腹痛は、医学的には「機能性ディスペプシア」「過敏性腸症候群」と呼ばれ、ストレスや緊張が原因で起こることが多いとされています。
胃や腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、精神的な影響を受けやすい臓器です。緊張や不安が高まると、自律神経のバランスが崩れ、胃腸の動きが過敏になったり、逆に鈍くなったりします。その結果、腹痛や下痢、便秘などの症状が現れることがあります。
「お腹が痛い」と訴えられたら、どうすればいい?
こうした場面でまず大切なのは、子どもの訴えを否定せず、落ち着いて話を聞いてあげることです。「気のせいだよ」と言ってしまうと、子どもはさらに不安になり、症状が悪化することもあります。
対応としては、白湯やハーブティーなどの温かい飲み物を少量ずつ飲ませたり、お腹をカイロや湯たんぽで軽く温めたりするのが効果的です。また、深呼吸や軽いストレッチで緊張を和らげたり、好きな音楽や楽しい話題で気分転換を図ったりするのも良い方法です。これらの工夫は胃腸の動きを整え、症状を軽減する助けになります。
こんなときは医師に相談を
ただし、腹痛に加えて発熱や嘔吐がある場合、痛みが強く顔色が悪い場合、長時間続く・繰り返す痛みがある場合、あるいは血便や激しい下痢など排便に異常がある場合は、単なる緊張による腹痛ではなく、虫垂炎(盲腸)や腸炎などの病気の可能性もあるため、医療機関の受診が必要です。症状が強いときは無理をさせず、医師に相談することが大切です。
また、日頃から子どもが安心して話せる環境を整えておくことも、ストレス性の腹痛の予防につながります。受験や発表会の話題を日常会話に取り入れ、「頑張ってるね」「楽しみにしてるよ」といった前向きな声かけをすることで、子どもの不安を和らげることができます。さらに、規則正しい生活やバランスの良い食事を心がけることで腸内環境が整い、ストレスへの抵抗力も高まります。
「お腹が痛い」という言葉は、子どもからの小さなSOSかもしれません。まずは寄り添い、必要に応じて医療の力を借りることが、親としての最善の対応です。
執筆者

高木 謙太郎
2022年5月2日に四谷で「予防医学を世の中に広め、健康寿命を伸ばし社会に貢献する」を理念に新規開業。
私は約15年間消化器内科医として、胃がんや大腸がんで苦しむ人々をたくさん診てきました。内視鏡検査を若い頃から定期的に受けて頂き、胃がんや大腸がんを早期発見ができれば、内視鏡で切除し根治が可能だったと悔しい経験をすることが多々ありました。
内視鏡検査は「痛い」「怖い」というイメージを持たれがちですが、正しい知識を啓蒙し、高水準で苦痛の少ない内視鏡検査を提供することで、それらの病気で苦しむ人を限りなくゼロに近づけることが可能であると思います。
「胃がん・大腸がんをゼロに」をミッションに頑張っています。
専門的で高度な医療を提供することは当然のこと、人と人との繋がりを大切にし、心の通った医療を提供することをモットーに地域医療をおこなっています。
経歴
2007年 東京慈恵会医科大学 医学部卒業
資格
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本医師会認定産業医

