「悪性リンパ腫が胃や腸に発症すると現れる症状」はご存じですか?

「悪性リンパ腫が胃や腸に発症すると現れる症状」はご存じですか?

悪性リンパ腫は消化管にも発生し、胃や小腸、大腸などさまざまな部位に病変を形成することがあります。消化管原発リンパ腫は節外性リンパ腫の中で比較的頻度が高い病型です。ここでは、胃に発生するMALTリンパ腫の特徴と、その背景にあるピロリ菌感染との関連、さらに小腸や大腸に生じるリンパ腫の症状と診断方法について解説していきます。

明星 智洋

監修医師:
明星 智洋(江戸川病院)

熊本大学医学部卒業。岡山大学病院にて研修後、呉共済病院や虎の門病院、がん研有明病院などで経験を積む。
現在は江戸川病院腫瘍血液内科部長・東京がん免疫治療センター長・プレシジョンメディスンセンター長を兼任。血液疾患全般、がんの化学療法全般の最前線で先進的治療を行っている。朝日放送「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」などテレビ出演や医学監修多数。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本内科学会認定内科医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。

消化管に関連する悪性リンパ腫の特性

悪性リンパ腫は消化管にも発生し、胃や小腸、大腸などさまざまな部位に病変を形成します。消化管原発リンパ腫は節外性リンパ腫の中で頻度が高い病型です。

胃MALTリンパ腫の特徴と関連因子

胃に発生する悪性リンパ腫の中で、MALT(粘膜関連リンパ組織)リンパ腫は特に重要です。MALTリンパ腫は低悪性度のB細胞性リンパ腫であり、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染と強く関連しています。ピロリ菌の持続感染により胃粘膜に慢性的な炎症が起こり、その結果としてリンパ組織が形成され、リンパ腫が発生すると考えられています。
胃MALTリンパ腫の症状は、一般的な胃炎や胃潰瘍と類似しており、軽度の上腹部の違和感や胃もたれ、食欲不振などが多く見られます。症状がほとんどない場合には、健康診断や他の検査の際に内視鏡で発見されることもあります。
内視鏡検査では、発赤や浮腫、びらん、潰瘍などさまざまな変化が見られます。胃がんとは異なる特徴を示す病型もあり、適切な診察や組織検査により区別が可能です。

小腸・大腸のリンパ腫と症状の現れ方

小腸や大腸に発生する悪性リンパ腫は、胃に比べると頻度は高くありませんが、部位により症状の出方が異なるのが特徴です。小腸では、腹痛・下痢・腹部の張り・腸閉塞・消化管出血などがみられることがあります。
小腸のリンパ腫は濾胞性リンパ腫が比較的多い一方、回盲部付近ではびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)やバーキットリンパ腫などがみられることもあります。ただし、これらはあくまで病型の傾向であり、診断には画像検査や組織検査が不可欠です。

小腸リンパ腫の診断は容易ではありません。通常の上部・下部内視鏡検査では観察できない部位であるため、カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡、CT enterographyなどの特殊な検査が必要となることがあります。また、腸重積や穿孔などの合併症を起こして緊急手術となり、術後の病理検査で初めて診断されるケースもあります。
大腸リンパ腫は、盲腸や右側結腸に多く発生します。症状は大腸がんと類似しており、血便、便通異常、腹痛などが主体です。大腸内視鏡検査で腫瘤性病変として発見され、生検によって診断されます。

まとめ

悪性リンパ腫は、早期発見と適切な治療により、長期的な寛解(症状が落ち着いた状態)が得られる方も増えています。初期症状を見逃さず、専門医による正確な診断と病期評価を受けることが重要です。治療後は晩期合併症に注意しながら、定期的なフォローアップと健康的な生活習慣により、質の高い人生を送ることが可能です。気になる症状がある場合には、早めに血液内科や腫瘍内科を受診することが大切です。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス「悪性リンパ腫」

日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」

厚生労働省「がん対策情報」

配信元: Medical DOC

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