3.ケガの可能性
3つ目の要因は、何らかのケガの可能性です。
猫は自分の弱みを隠したがる動物です。弱みは敵につけ入る隙を与え、命にも関わってきます。たとえケガを負っていても、なるべくポーカーフェイスを貫く。それが大昔から続く猫の「野性」です。
美学としては立派ですが、ケガにもかかわらず、愛猫が平静を装っていたら、飼い主さんの気づかないうちに、症状が悪化してしまうこともあります。
ケガでよくあるのは、キャットタワーなどの高所からの着地失敗、滑りやすいフローリングでの転倒です。変な姿勢で着地したり、転んだりすると、捻挫や脱臼、骨折などの危険性が出てきます。
たとえば、猫が右前脚を軽く捻挫すると、無意識のうちにかばって、他の脚に重心をかけるようになります。その間、ケガした右前脚の筋力が衰えることもあります。人間で言えば、骨折のギプスを外したら、ひと回り足が細くなっていた、と同じようなものです。
みなさんの愛猫が、加齢以外の理由で、以前は何でもなくこなせていた行動(キャットタワーを登る、飛び降りるなど)を回避しているなら、もしかすると何らかのケガを負っているサインかもしれません。
異変に気づいた時点で、すぐに愛猫を動物病院に連れていってください。
筋力を維持するための対策とは?
運動に問題のない健康的な猫であれば、日々の適度なおもちゃ遊びこそが、「筋力強化」につながります。
一日のおもちゃ遊び時間の目安は、だいたい1回につき5~10分、数回に分けるのがポイントです。「登る」、「ジャンプする」などの立体的な動きも重要なので、もしおうちになければ、キャットタワーの設置も検討してみてください。
なかなか動きたがらない肥満気味の猫やシニア猫には、一定の工夫が必要です。
低めのキャットタワーを導入するほか、楽しみながら遊べる知育玩具(おやつを探すものなど)、寝転んで遊べる蹴りぐるみといった猫グッズが活躍してくれます。
言うまでもないことですが、持病やケガのある愛猫は、運動自体が悪化の要因になるため、無理して遊びに誘うのは控えるようにしましょう。

