●真実であると信じることについて、相当な理由もないと判断された(上の「3」)
また、たとえ真実でなかったとしても、「摘示した事実を真実であると信じることについて相当な理由がある場合」も、違法性が否定される場合があります(真実相当性などと呼ばれています)。
具体的には、発言者が十分な調査や確認を行った上で、その事実が真実だと信じるだけの合理的な根拠があった場合です。
本件では、報道されている判旨からは必ずしも明らかではありませんが、真実相当性についても認められなかったと考えられます。真実相当性が認められていれば、不法行為が成立しないこととなるからです。
以上から、立花氏の発言の違法性は否定されず、民事上の名誉毀損が成立し、元社員への損害賠償が命じられました。
●本件の争いは複雑
報道では、この元社員の男性は、トラブルとなった党員に対しても名誉毀損に基づく損害賠償請求をしており、裁判所は名誉毀損を認めて88万円の支払いを命じているそうです。
また、逆に、党員も、この元社員の男性から暴行を受けて負傷したとして損害賠償を請求しているそうです。この請求についても、元社員の男性の「正当防衛だった」とする主張は認められず、元社員に対して20万円の損害賠償を命じたそうです。
なお、本件は地裁判決であり、まだ確定したわけでもない点にも注意が必要です。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

