治療方針や予後を判断するうえで、悪性リンパ腫のステージ分類は極めて重要な役割を果たします。正確な病期診断により、個々の患者さんに適した治療戦略を立てることが可能になります。ここでは、国際的に用いられているAnn Arbor分類による病期決定の方法と、予後を予測するための各種因子について詳しく解説していきます。

監修医師:
明星 智洋(江戸川病院)
現在は江戸川病院腫瘍血液内科部長・東京がん免疫治療センター長・プレシジョンメディスンセンター長を兼任。血液疾患全般、がんの化学療法全般の最前線で先進的治療を行っている。朝日放送「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」などテレビ出演や医学監修多数。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医、日本内科学会認定内科医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。
悪性リンパ腫のステージ分類と病期診断
悪性リンパ腫の治療方針や予後を判断するうえで、ステージ分類は極めて重要です。正確な病期診断により、個々の患者さんに適した治療戦略を立てることが可能になります。
Ann Arbor分類による病期決定
悪性リンパ腫のステージ分類には、Ann Arbor分類が広く用いられています。これを基に2014年に改訂されたルガーノ分類は、CTやPET-CTなどの画像診断を用いて病変の範囲や臓器浸潤の有無を評価する国際的な分類法です。Ann Arbor分類のI期からIV期までの病期区分を引き継ぎつつ、全身症状の有無(A/B分類)に左右されず、より正確に病期を評価できる点が特徴です。
I期は、単一のリンパ節領域または単一の節外臓器に限局した病変を指します。II期は、横隔膜の同じ側に存在する2つ以上のリンパ節領域の病変、あるいは限局性の節外病変とそれに近接するリンパ節領域の病変を含みます。III期は、横隔膜の両側にリンパ節病変が存在する状態、つまり胸部と腹部の両方にリンパ節腫大が認められる場合です。IV期は、リンパ節以外の臓器(肝臓、骨髄、肺など)に広範囲に病変が広がっている状態、あるいは複数の節外臓器に病変が存在する状態を指します。
予後予測因子とリスク分類
ステージ分類に加えて、悪性リンパ腫の予後を予測するためのさまざまな因子が確立されています。特に重要なのが、改良国際予後指標(R-IPI: Revised International Prognostic Index)です。R-IPIは、年齢(61歳を超えるか否か)、LDH値(正常上限を超えるか否か)、全身状態(パフォーマンスステータス)、病期(III〜Ⅳ期か)、節外病変数(2つ以上か)の5つの因子に基づいてリスクを評価します。
これらの因子のうち、該当する項目が0個の場合は非常に良好、1〜2個の場合は良好、3〜5
個の場合は不良と分類されます。
まとめ
悪性リンパ腫は、早期発見と適切な治療により、長期的な寛解(症状が落ち着いた状態)が得られる方も増えています。初期症状を見逃さず、専門医による正確な診断と病期評価を受けることが重要です。治療後は晩期合併症に注意しながら、定期的なフォローアップと健康的な生活習慣により、質の高い人生を送ることが可能です。気になる症状がある場合には、早めに血液内科や腫瘍内科を受診することが大切です。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス「悪性リンパ腫」
日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」
厚生労働省「がん対策情報」

