小学生の「なぜ?」というまっすぐな気持ちが、そのまま記事になるおもしろさ
──新聞をつくるときに、小学生に意見や感想をもらうことはありますか?
小泉編集長 はい、もちろんあります。そして、実はそれをとても大切にしているんです! KODOMO新聞でいちばん人気のコーナー「こどもボイス」には、毎月のテーマに沿ったお便りが編集部にたくさん届きます。

さらに、「この記事がおもしろかった」「こんな話題を取り上げてほしい」といった感想やリクエストも含めると、毎月届くお便りは数百通にものぼります。すべてのお便りに目を通し、できるだけその声に応えられるように頑張っています。
この記事は、以前掲載された記事を読んだ読者から届いた「日本には“佐藤さん”っていう苗字の人が多いと書かれていたけれど、それってどうして?」という質問に答えたものです。

じつは“佐藤さん”という苗字のルーツのひとつが、栃木県の佐野市。そこで、記者は佐藤さんのルーツを探りに佐野市へ向かいました。この日は、佐野市のご当地キャラクター「さのまる」も特別に登場! なんと「SANO」の“N”を佐藤の“T”に変えて、「サトマル」として遊びに来てくれました(笑)。
こんなふうに、読者の「なんで?」「知りたい!」という声から記事が生まれることもあるんです。
また、さまざまなお仕事の魅力を深掘りするインタビュー企画「ワクワクWORK」のコーナーでは、まさに読者の声から生まれた記事もあります。

「馬のお世話をする“厩務員(きゅうむいん)”さんについて知りたい!」というリクエストを読者からもらい、記者が取材へ。質問も読者が考えてくれるのですが、「馬は地震のときにどんな反応をするんですか?」という、子どもならではのユニークな視点に記者もビックリ。大人ではなかなか思いつかない質問ですよね。
子どもが「知りたい!」と思うことは、きっと読者も気になること。だからこそ、そんな声を大切にして記事づくりをしています。
──新聞をつくっていて、いちばんワクワクするのはどんなときですか?
小泉編集長 えーっと、実はこの質問、編集部の8人の記者にも聞いてみたんです(笑)。
すると、「読者からの反応があると、やっぱりうれしい!」という声が多く返ってきました。自分の書いた記事に対してお手紙をいただくこともあり、それを紙面に載せるだけでなく、デスクの前に飾っている記者もいるんです。つらいことがあった日には、その手紙を見て「よし、頑張ろう!」と元気をもらうこともあるそうですよ。

大人向けの新聞では、読者の反応を感じる機会はそう多くありません。でも、KODOMO新聞では、子どもたちから届くまっすぐで温かな言葉が、記者たちの大きな励みになっているんです。
もうひとつ多かったのは、「記者の仕事すべてがワクワクする」という声。記者になる人には、もともと好奇心旺盛なタイプが多く、普段はなかなか会えない人に会いに行き、話を聞いて、記事にしていく──。その一つひとつの過程が楽しくて仕方ない、という記者がたくさんいました。
プロ直伝! 子どもでも書ける“読まれる記事”のコツ
──学校行事で社会科見学に行ったあと、新聞をつくることがあります。たくさんの人に読んでもらう新聞づくりのコツがあれば教えてください。

小泉編集長 これは、なかなか難しい質問です(笑)。でも、私たちが記事を書くときに大切にしているポイントをお伝えしますね。
見学中にメモを取ったら、あとでそのメモを見返して、「自分がいちばんおもしろいと思ったことは何だったか?」を考えてみてください。あれもこれも書きたくなる気持ちはよくわかりますが、情報が多すぎると読みにくくなってしまいます。
まずは、おもしろかったことを3つくらいに絞ってみましょう。そして、いちばん伝えたいことを大きなパーツ、次に伝えたいことを中くらいのパーツに……と分けて構成すると、伝わる新聞になります。
さらに、色を使ったり、見出しの文字にインパクトを持たせたりすると、パッと目に入りやすくなって、たくさんの人に読んでもらえるかもしれませんね。
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ここで、息子のこども記者ミッションは無事コンプリート! インタビューを終えた息子は、「ふう〜」とひと息。その顔には、やりきった達成感と、緊張から解き放たれた安心感が、じんわりとにじんでいました。
