健康診断などで行われる便潜血検査は、大腸がんやポリープの早期発見につながる大切な検査です。しかし血液が混じる原因はさまざまで、必ずしも大腸がんとは限りません。大腸カメラ検査を受けることで、原因を正しく調べ、必要に応じて早期治療につなげることができます。今回は、便潜血検査で「陽性」が出た後の検査方法について柏木先生に解説していただきました。

監修医師:
柏木 宏幸(池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院)
2010年埼玉医科大学卒業後、沖縄にて初期臨床研修をおこない、東京女子医科大学病院消化器病センター内科へ入局。女子医科大学病院消化器内科助教となり複数の出向病院で勤務し、2023年4月に池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック開業。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、一般社団法人日本病院総合診療医学会認定病院総合診療医、難病指定医。
編集部
便潜血検査で陽性と言われた場合、どうしたら良いのでしょうか?
柏木先生
通常、便潜血検査で陽性と出た場合には、大腸カメラを受けて精査することになります。そのため、まずは大腸のカメラ検査が受けられる医療機関を受診し、検査の予約をします。
編集部
大腸カメラとはどういうものですか?
柏木先生
先端にカメラが付いた内視鏡スコープを肛門から体内へ挿入し、直腸から盲腸までの大腸全域の粘膜を直接観察することができる検査です。病気を早期発見できたり、組織を採取して確定診断に繋げたりすることができます。
編集部
なぜ、便潜血検査のあとにこの検査を行う必要があるのですか?
柏木先生
便潜血検査はあくまでも便に血液が混ざっているか調べるための検査です。血液が混ざっていても、実は痔のせいかもしれませんし、ポリープや炎症などが原因になっているのかもしれません。大腸カメラでは直接大腸の粘膜を調べることができるので、潜血の原因を理解することができ、疾患の鑑別・診断に役立つのです。
編集部
大腸カメラを受けることで、大腸がんも早期発見できるのですか?
柏木先生
はい。大腸カメラの検査は大腸がんを早期発見できるだけでなく、大腸がんの前兆ともいえる大腸ポリープを見つけることにも優れています。一方の便潜血検査も優れた検査ですが、早期よりも、むしろ進行がんの場合に潜血反応が示されることが多く、早期のがんは見逃されてしまうリスクがあります。そのため人間ドックでは大腸カメラを希望される方が多いです。
※この記事はメディカルドックにて【検便の「陽性」がどれほどヤバいかご存じですか? 要精密検査が示す大腸がんリスク】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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